教育福島0105号(1985年(S60)10月)-042page

[検索] [目次] [PDF] [前] [次]

教育センターから

 

研修講座の内容が日常の活動にどう生かすか

 

−家庭、技術・家庭−

 

はじめに

 

「電子計算機システムとNC工作機械を結びつけての精密加工を実際に行ってみて、現在の工業分野の高度な技術にふれ大いに啓発された。このシステムで作ったロータリーエンジン模型を是非とも教材として活用したい」。

教育センダーでの技術・家庭講座の研修を終えたある若い先生の感想である。児童生徒の主体的な実践活動を促すための教材研究と開発、またこれを支えるためのさまざまな新しい技術や考え方を研修。研修者が相互に学び合い研さんする中から、明日の授業に生かすものが生まれてくる。本年度行われた家庭、技術・家庭講座研修の中での実習や資料を授業にどう生かしていくか、研修者の声を含めて紹介していきたい。

 

一 小学校家庭講座

 

家庭科の領域「被服」「食物」「住居と家族」三分野全てを取り上げ研修を行っている。「被服材料の性能に関する標本作製」では十五種の実験用試料を使い、繊維の鑑別を比較的簡単にできる燃焼法と顕微鏡法を実習した。「ふだん布の特徴など口頭だけで説明していたが、実際に目で確かめる簡単な方法がわかった」「理論の裏づけができた。標本を活用して製作や手入れの指導に役立てたい」何人かの先生の感想である。

「間食の整え方と団らん」については、子供の一人食べが多くみられるなど食卓を中心とした家族の団らんが失われつつあることを取りあげ、家族そろって食卓を囲むことの大切さを実習を通して研修した。家庭科は実習教科であるが、常に家族や家庭を意識して指導する大切さを忘れてはならないことを確認した。また「ビタミンCとカロチンの簡単な検出法」では、キャベツを使い調理の際の扱いかたによってビタミンCの破壊されかたが異なること、にんじんを使いカロチンが油に溶ける実験を行い、なぜ緑黄色野菜の油いためが取りあげられているのかの根拠を明らかにした。「危険生がなく、簡単にでき、結果もはっきりわかるので、さっそく学校で子供と一緒にやります」

「気持ちのよいすまい」は建築設計事務所の所長さんを講師に招き、環境の大切さ、機能性だけを追求する危険性など、すまいのもつ機能性と芸術性について幅広い知識を得ることができた。

 

二 中学校技術・家庭講座

 

(一)男子

「シリコン制御整流器(SCR)を用いた調光器の製作」では基本的な理論をふまえながらの実習であった。生徒にとって製作実習は楽しく、その実習の中で学習する効果は大きい。特に電気学習では、理論学習に不消化をおこす生徒の多いことが悩みである現場にとって、手づくりをしながら基礎理論を学ぶことのできる本題材は、電力制御の新しい考え方を教材化したものとして、今後授業でとりあげられていくものと思われる。(回路図参照)

金属加工分野としては「手仕上げ」加工技術の向上と、最近学校であまり活用されなくなりつつある旋盤の操作の向上をめざし「一穴ポンチ」の製作を行った。厚さ三ミリメートルの軟鋼板の切断や折り曲げ加工、直径二十ミリメートルの軟鋼棒の旋盤による段削

 

家庭講座の食物実験風景

家庭講座の食物実験風景

 

図 調光装置回路図

 

 

 

 


[検索] [目次] [PDF] [前] [次]

掲載情報の著作権は情報提供者及び福島県教育委員会に帰属します。