教育福島0106号(1985年(S60)11月)-025page

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随想 ずいそう

 

小白井あれこれ

佐藤 正躬

 

○ 地名の由来

 

○ 地名の由来

 

今から約八百年程前、和田山に和田藤左衛門という人が住み、この地を治めていた。当時、この地区には猪がたくさんおり、開拓地が荒されて困っていた。ある日、猪狩りをして多数捕獲したところ、その中に尾の白い猪が混じっていた。これは大変珍しいということで、それに因んでこの地を尾白猪と名づけたといわれている。その後、それが小白猪に変わり、現在の小白井になったという。

現在、本校にも地元の方が寄贈された猪の剥製があり、また、毎年冬になると、猪狩りを楽しみにしている農家の方がいることも事実である。

 

○ 山菜と木の実

 

標高約六百五十メートルのこの地区は、自然環境に恵まれ、山菜や木の実の豊富な所である。特に、春の山菜、秋の木の実の季節は、自然の恵沢を満喫できる最良のシーズンでもある。

早春、残雪を押しのけるようにして顔を出すフキノトウに始まって、タラノメ、ウド、ワラビ、ゼンマイ等が、春を待ちかねたように一斉に芽吹いてくる。中でも、手軽に採集できること、風味のよいことから、タラノメは春を代表する山菜といってよい。

本校では、毎年五月の連休明けに、山菜採集の行事を実施している。主な採集物はタラノメだが、学校から十五分程の山の斜面に行き、見つけた喜びをことばにしながら採集する子どもたちの姿は誠に微笑ましい。タラノメ取りなど初めて経験する若い先生方が多いため、ウルシの芽を摘んでは子どもに指導されることもあり、子どもが主人公の楽しい行事の一つになっている。

秋、ガマズミの色づく頃が木の実の季節である。アケビ、クリ、マタタビ、サルナシ等が、秋の日を浴びて個性的な実をつける。地元では、マタタビを採集して果実酒にする人が多い。物の本によると、サルナシは日本列島最高の美果とのことである。タラノメのように採集は容易ではないが、サルナシ酒は癖がなくて美味である。今年も冬期間の体内暖房用に、ホワイトリカーでつけこんでみたい。

 

○ 冬の気温

 

三年前、小白井小に転任が決った時先輩から「小白井の冬は寒いがんない。なにしろ、神棚の酒が凍んだから」と驚かされた。一年目の冬、早速この実験に取りかかった。二本の徳利を用意して、水と酒を入れて確かめてみたが酒の方は零下十五度でも凍らなかった。

とにかく、一月から三月上旬までは毎朝零下十度以下の日々が続く。そのため、校庭の雪も凍って子どもたちは屋外の運動ができなくなる。そこで、今年は、学校長はじめ先生方と相談して、校庭をスケート場にできないか検討することにしている。子どもたちの冬期間の体力作りのためにも、ぜひ実現させたいものだと、今から楽しみにしている。

(いわき市立小白井小学校教頭)

 

共に育つ

鶴見常夫

 

万年雪を冠するその雄大な姿は自然という言葉の代名詞のような感じがする。

 

「春雪深き飯豊に連なる峰は高陽か……」とは、私の前任校である西会津町立奥川中学校の校歌である。飯豊とはもちろん飯豊山のことである。万年雪を冠するその雄大な姿は自然という言葉の代名詞のような感じがする。

飯豊山に連なる高陽山のふもとに奥川中学校が在る。私にとっては生涯忘れることができない思い出深い学校である。その山合いの学校で多くの純真な生徒と人情深い地域の人たちと教育を共にすることができたのである。

その中の一人にK君という生徒がいる。現在、彼は筑波大学附属盲学校高等部専攻科一年(東京)に在学し、将来教員になることを志してがんばっている。K君は昭和五十六年度福島県下英語弁論大会において、耶麻大会第一位、県大会創作の部第一位になり、第三十三回高松宮杯全日本中学校英語弁

 

 

 


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