教育福島0106号(1985年(S60)11月)-041page

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の条件のそろった多目的スペースで学習をする。

(3) 「課題別グループ学習」の場

いくつかの課題別グループに分かれて学習するときの場とする。普通の教室だけでは、話し合い活動や作業なども狭くてままならないので、広い空間を利用して活動する。

その他、広い活動場所を必要とする学習や多様な活動が数多く展開できる。

2、学年・教科レベルでの活用

(1) 多様な学習形態が組める。

1) 一人学習での活用

多目的スペースのまわりに、一人学習用のキャレル(机の前や横につい立てのついた机)やブースを置くことができるし、小テーブルでも一人学習ができる。しかも、オープンスペースの場合は、全員の活動が見えるので、子どもの管理上の問題がない利点もある。

2) グループ活動での活用

小グループ学習は、多目的スペースに置かれた大小のテーブルで行うことができるし、教室も利用できる。

学年全体の大グループ学習も可能である。

3) 学年ティームでの活用

学年単位のティームティーチングの場として活用できる。例えば「習熟度別指導」で考えるとき、三クラス合同であれば、あるところまで一斉指導後、目標達成グループと未達成グループに分け、一教師が強化、発展グループを、二教師が個別指導による補充指導を行う等である。

4) 教科ティームでの活用

中学校や高等学校では、それぞれの教科の教師がティームを組んで、一緒に活用する方法が考えられる。

このとき、多目的スペースは、「教科センター」として機能させる。

3、作業活動の場としての活用

学習活動として、連続した作業学習しかも、かなり長期にわたる作業に活用できる。例えば、文化祭の出しものを製作するとすれば、一定のスペースを長い間占領し、片づける時間を節約して連続的に作業を進める場とできる。

4、ラーニングセンターとして活用

学習に必要な教材教具を学習の場に置き活用しやすくできる。多目的スペースは広いので、テレビやスライド・プロジェクターを常設して置くことも、シート機器でもマイコンでも十分置くことができる。更に、単行本、参考書、新聞など「学習素材」を置き、自主的に学習が可能にする。

また、「豊かな学習環境」を仕組むことができる。例えば、理科の観察のために顕微鏡を置いたり、郷土の資料を展示したり、学習を促進する動的な環境がつくれる。

5、美しく、豊かな生活の場として活用

 

三、学校教育と学校施設の今後の方向

 

図1は、東京都立大教授長倉康彦氏の説明図である。我国の教育は、左側のクローズド・システムから右側のオープン・システムに移行すべきであると長倉氏は力説している。学校教育の画一化からの脱皮のため、大いに参考とすべきことである。

(参考文献「多目的スペースの意味を考える」国立教育研究所主任研究官 加藤幸次)

 

図1 教育施設を中心に描いた教育方法と施設の関係

 

 

 

 


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