教育福島0106号(1985年(S60)11月)-047page

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● 仮説は、検証可能な方策に焦点化すること…指導法改善の方策

受講者は、相談を通して当初の「主題」、「仮説」を修正し、検証講想を樹立して中期の講座へ希望をつなぐのでである。

 

(二) 中期(検証計画の作成)

中期は、これまでの計画や講想を基に、研究のきめ手となる検証計画を作成し、研究計画の全てを完成することが中心となる。

受講者は、最初に駒林教授の講義「学校教育を取り巻く諸問題」により、専門分野における第一人者の問題意識を共有する。次に、「授業研究(福島市立瀬上小学校)」を通して、検証授業の在り方を理解する。更に、検証用具の選択や検証計画が具体化した受講者の熱いまなざしのなかで、前期の延長として「データの処理(2)」の講義及び演習が行われる。

研究相談は、受講者が持参した研究計画(研究経過報告書)を基に行われる。相談は、検証計画の吟味が中心であり、必要に応じ修正、変更されることになる。この期間における相談の対応・内容は、前期にあげたもののほか、次のようである。

● 単元(小単元)・題材の指導計画と検証計画との関連

● 検証用具(テストバッテリー、アンケート、学習カード、その他の評価方法・用具等)の妥当性、信頼生、実用性、検定の方法

● 検証授業への仮説の位置づけ

● 検証の観点

● 研究主題−仮説−検証計画の一貫性

相談を終えて、これまでの内容を六ページ(B五)にまとめ提出し、中期の講座は終了する。

その後、受講者は、勤務校において研究・実践に取り組み、その結果を十ページにまとめて提出することになる。この期間、研修者は、試行錯誤、疑問や不安で緊張状態が解けない時期でもある。

しかし、研究を終えて後期の講座に来所する受講者は、満足感と自信に満ち溢れ、発表意欲に燃えた明るい表情をしているのが印象的である。

 

(三) 後期(研究報告会−発表)

後期は、例年所長の講話により開講する。本年度の題名は、「教育と教師」を予定している。講話の後、研究報告の内容や準備等について相談が行われ、研究報告会に入ることになる。

研究報告会は、受講者全員が一堂に会して行われ、義務教育課、高等学校教育課各主幹、福島市内の小・中・高等学校長の助言のもとに進められる。

発表は、話術、作品掲示・展示、録音、TPといずれも個性溢れた工夫が凝らされている。また、報告される内容は、児童生徒の実態に始まり、期待した変容の様子を検証結果の有効性の判定により結論づけられる。そして、研究者の目で反省が加えられる。

受講者が、研究の期間を通して児童生徒を見つめてきた確かなそして真摯な目を、報告内容から受講者同志が受けとめ合い、深い感動を覚え、教育研究の重要性を認識して講座のすべてを終えるのである。

 

四 おわりに

 

受講者の反省のなかに「教育指導の実践について、これまでの取り組みの甘さを痛感した。指導の方向性、手だてがわかりかけてきたのでこれからの授業は、変わると思う」というものがあった。「当講座の真髄は、この反省にあり」と講座担当者は、受講者のその後を思いやるのである。

 

表-1) 昭和60年度教育研究法講座概要

表-1) 昭和60年度教育研究法講座概要

 

 

 


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