教育福島0106号(1985年(S60)11月)-048page

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〈まちからむらからこんにちは〉

婦人教育の現状について

いわき市教育委員会

 

一、はじめに

 

いわき市は、福島県浜通りの最南端に位置し、首都圏にも近く、「東北の湘南」と言われるほど気候が温暖で豊かな自然と、湯量日本一を誇る「いで湯」に恵まれた都市である。

本市の面積は、千二百三十・〇三平方キロメートル、人口は昭和六十年四月一日現在で三十四万七千三百三十三人、世帯数十万一千七百九十二世帯である。

昭和四十一年十月一日に十四市町村の合併により誕生以来二十年を迎えようとする現在、「教養を高め文化のまちをつくりましょう」という市民憲章のもと、公民館を中心とする社会教育活動・文化活動の積極的推進により、地域文化の向上と地域社会の発展をめざしている。

 

二、公民館と婦人教育の現況

 

本市には、旧市町村地区単位に十三館の予算執行館、その他地区館として二十二館の計三十五館の公民館があるが、その利用状況は婦人と高齢者にかたよりがちであり、成人(男子)層、青年層の公民館事業への参加は少ない。婦人教室百六教室、婦人学級三十三学級が実施されているが、その他の成人対象の事業も女性の参加者が大部分を占める場合が多く、公民館職員は成人(男子)層、青年層の参加を得るべく苦慮している現状である。

さて、このような意味では比較的「やりやすい」婦人対象の事業であるが、事業内容のマンネリ化、参加者の固定化の傾向は否定できない。

公民館事業費が昭和六十年度予算で三千三百二十二万八千円、人口一人当りにして約九十五円ということから事業内容も限定されるのではあるが、事業の評価方法が確立されていないということも問題である。教育的な方法ではないということはわかっていても、いきおい、参加者の「数」による評価をせざるを得ないのである。したがって、結果的に、前例踏襲主義による事業の企画、又は参加希望者の趣味に迎合した企画が実施される可能性が大きい。これは、就労婦人の増加に公民館事業が適切に対応できていないこと、そして高学歴社会の現在においては、民間の教育産業の発達に比べ、公民館事業が見劣りするということではないだろうか、どうしても公民館の各種学級・教室には、同じ顔触れが集まる傾向がみられるのである。

「生涯教育」が叫ばれる今日、何よりも「生涯学習」の意識をもつ市民、婦人の育成が必要であり、そして、今市民にとって何が必要な「学習内容」かを研究するとともに適切に判断し、事業に取り入れようと試みる職員が、より多く必要になってくるのである。

 

三、婦人会の現状

 

婦人会の傾向として、都市部においては高齢化が進み、農村部においては地縁的つながりにより、若い婦人層の加入があるということであるが、いわき市も例外ではないようである。

本市には、四十二団体、会員七千人の地域婦人会連絡協議会があるが、会員の高齢化、固定化が進むとともに、その行事もマンネリ化の傾向があるように見受けられる。これは、就労婦人の増加、また核家族化等の都市化現象の影響でいわゆる「世代間ギャップ」が顕在化したことなどによって、若年婦人会員の獲得が困難になっており、これが原因となって、婦人会の行事・

 

婦人国内研修会に参加した皆さん

婦人国内研修会に参加した皆さん

 

 

 


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