教育福島0106号(1985年(S60)11月)-052page
県民の学習活動を援助
生涯教育データバンク
情報提供事業
最近、生涯教育推進本部事務局(社会教育課)に問い合わせのあった電話相談の事例を紹介しますと、
その1 「F文化団体ですが、N町に今春完成したと聞いていますコミュニティセンターでは、音楽会はできるのでしょうか。施設の概要や設備の状況はどうなっていますか」
その2 「T公民館ですが、高齢者大学で心をテーマにした学習会を開きたいのですが、適切な講師を紹介していただけないでしょうか」
その3 「わたくし、市内に住む子育てを終えた主婦ですが、このごろ身も心もどんどん空っぽになっていくような気がするのです。何かをやりたいのですが、その何かがわからないのです。どうしたらいいでしょうか」
このような、施設の内容や利用方法、講師紹介、学習相談等その他、さまざまな問い合わせや相談についての電話が、市町村の各機関や団体、県民から直接かかってきています。
このことは、県民の生涯学習への意欲が高まってきている傾向を示していると言えます。
●必要性と事業内容
このような状況から、県民の生涯にわたる学習活動を容易にする援助方策や、良質な学習情報の提供、そして、適切な学習相談体制づくりを行政で推進することが時代の要請となってきています。
現在、県の学習情報提供は、各課、出先機関、施設等が個々に、しかも部分的に保有している情報を散発的に、限られた領域だけを提供している状況にあります。
このような状況を改善し、身近な役に立つ学習情報を効率的に提供するためには、総合的、系統的、組織的なものとして提供する方法を確立しなければなりません。
そこで、生涯教育推進本部では、生涯教育推進事業の一つとして、生涯教育データバンク・情報提供事業運営委員会を設置し、
1)教育資源の調査・
2)生涯学習基礎資料の作成
3)学習相談事業
4)テレビスポット放送
5)広報資料の発行
等の事業の企画と運営のあり方を検討しながらすすめています。
●どこからどんな情報を
国や県、市町村の行政機関、学校、社会教育施設、各種団体、民間がもっている学習や文化・スポーツ・レク活動に関する次の情報を収集します。
1)教育施設、文化施設、スポーツ施設の種類、活動状況、利用方法などに関する情報
2)各種施設・機関におけるレファレンス機能に関する情報
3)国や県、市町村、民間、高等学校、大学等が行っている学習機会の種類、内容、受講方法などに関する情報
4)社会教育関係団体、グループ、サークル等の種類、活動状況、加入方法などに関する情報
5)各種団体活動、学習活動等において活用できる有志指導者に関する情報
6)学習活動のための教材、参考資料(視聴覚機材、教材を含む)に関する情報
7)各種施設、機関等が行っている教育調査に関する情報
8)その他、県民の生涯学習を促すために必要な情報
これらの収集した情報を施設、学習事業、人材、団体、教材、学習資料、資格取得、情報源等の領域に大分類し、さらに数十項目に小分類して整理カードで保管します。
●どんな手段で学習者へ
今年度は、まず県内にある公立、民間を問わず公民館、図書館、博物館、資料館、美術館等の学習施設、青少年や婦人、高齢者の利用を対象とした施設、社会体育・スポーツ施設、野外活動・レク施設、相談施設、さらに、市町村会館やコミュニティセンター等の研修、集会関連施設等の設備や活動状況、利用方法等を調査します。それらを学習基礎資料として「生涯学習ガイドブック施設編」を作成し、各市町村教育委員会、公民館や各施設に配布する予定です。
従来から発行している生涯学習の啓発広報資料「生涯学習ふくしま」もさらに内容を充実させて、学習情報資料としても十分活用できるように編集し、住民が学習の場として直接かかわっている公民館を中心に配布しています。
また、県が実施する広域的な事業については、テレビやラジオ、新聞を通して定期的に、学習機会のお知らせをしています。
さらに、生涯教育推進本部事務局(社会教育課)、各教育事務所では、県民からの学習相談に直接電話や文書で応じています。
以上のように、県民の多様な生涯学習活動に即応した鮮度の高い、正確でわかりやすく利用しやすい情報の提供をすすめるのが、この生涯教育データバンクの目的です。県民の皆様のご活用を願います。