教育福島0107号(1985年(S60)12月)-008page

[検索] [目次] [PDF] [前] [次]

特集1

 

学校と家庭との連携を深めた

道徳教育の推進

小・中学校

 

はじめに

 

道徳教育は、人間尊重の精神を家庭、学校、その他社会における具体的な生活の中に生かし、個性豊かな文化の創造と民主的な社会及び国家の発展に努め、進んで平和的な国際社会に貢献できる日本人を育成するため、その基盤としての道徳性を養うことを目標としている。

 

道徳性とは、人間が人間としてもっている人間らしいよさということもでき、道徳性の育成を目指す道徳教育は人間をして人間らしいよさを発揮させるために行われる教育であると言える。

最近、児童生徒のさまざまな問題行動が大きな社会問題となっており、これは、生徒指導上の問題としてばかりでなく、物の考え方や人間としての生き方にかかわる心の問題として道徳教育の面からも取り組んでいくことが強く要請されている。

本稿は、このような問題点に対し、地域の小・中学校の連携並びに、学校と家庭や地域社会との連携により解決に取り組んできた研究校の実践の一端を紹介したものである。

道徳教育の計画や方法の改善、充実に、是非参考にしていただきたいものである。

 

−望ましい生活習慣を培い、協力し合う子の育成−

 

会津若松市立門田小学校

 

一、はじめに

 

学校教育に「道徳」が取り入れられてすでに四半世紀以上もたちながら、近年ますます徳育の重要性が叫ばれているのは、今の学校における道徳教育のあり方が問い直されているということではないだろうか。

これまでの道徳教育において、その効果が十分でなかったとするならば、その要因の一つに家庭との連携協力の不十分さが挙げられよう。

本来、道徳の教育は家庭における乳幼児のしつけから始まり、学校・社会での教育がかかわって人格の形成を図っていくものであるが、家庭の教育機能の低迷が論じられる昨今、家庭に対して、学校における道徳教育についての理解に努め家庭の教育力の活生化を図っていくことは、きわめて有効なことである。

本校は、昭和五十九・六十年度、文部省及び会津若松市教育委員会より道徳教育(学校・家庭連携)推進校の指定を受けたが、時宜を得たものとして受け止め、これを機に一層道徳の授業の充実を図ると共に、効果的な道徳教育実践のための家庭との連携について研究を進めているところである。

 

二、研究主題設定の理由

 

本校は、かつては米作中心の純農村にある中規模校であったが、近年学区門田町への工場や住宅、商店などの進出が著しく、それに伴う都市化と共に児童数も急増し、現在は千五百名を数える大規模校である。父母の職業も多種にわたり価値観も多様で、道徳的意識や、家庭の教育力にも大きな差が見られる。

本校では、毎年指導計画の改善を図りながら道徳の授業を中心に全教育活動を通して道徳教育を進めてきたが、児童の道徳性や基本的生活習慣の実態をみると必ずしもその効果が十分とは言えない。そこには学校における指導上の課題も多くあるが、生活母体としての家庭における父母の考えや道徳的意識が児童の道徳性の発達に大きく影響していることを考えるとき、学校から家庭への積極的な働きかけによる連携がきわめて重要であると思われる。

そこで本校では、「道徳の時間」の指導を中核にして、全教育活動の中で実践の場の拡大を図ると共に、学校と家庭の相互理解と密接な連携による指導を通し、児童一人一人の道徳性を高

 

 

 


[検索] [目次] [PDF] [前] [次]

掲載情報の著作権は情報提供者及び福島県教育委員会に帰属します。