教育福島0107号(1985年(S60)12月)-011page
(3) 善行賞賛の推進
1) 児童が生活の中で見聞し体験した道徳的な事例を、校内放送「美ししい心、美しい行い」で発表することにしている。感動する内容が多く、児童のこの放送に対する関心は強い。
2) 学級に道徳コーナーを設けて、一人一人の児童の善行実践を呼びかけると共に、賞揚している。
(四) 家庭との連携
(1) 学校・家庭連携推進会議の設置
学校の全職員とPTA代表百余名で構成し年五回開催。学校の道徳教育に対する理解と協力を得ると共に、意見や情報の交換も行っている。
(2) 「道徳教育のしおり」の発行
学校で行われている道徳教育、特に本校で力を入れている内容、家庭における道徳教育などについて理解を得るため全家庭に配布、会合などでも利用されている。
(3) 道徳の授業公開と学級懇談会
両親学級を年一回実施し、全体会における道徳教育についての講話の後、全学級道徳の授業を公開しそれについての懇談会をもっている。父母の関心と理解が高まってきている。
この他、授業参観と学年、学級懇談会を組み合わせたものを年五回実施し、内容も道徳について多く取り入れるようにしている。
(4) 広報活動の推進
1) 道徳教育研究の情報、父母の意見や感想、諸調査の結果、その他参考になることなどをのせた「せんだん通信」を月一回発行し、学校と家庭相互の理解の深化を図っている。
(2) 学年・学級通信も学校からの一方的な通知としてではなく、学校や家庭の生活上の問題や、人間としての生き方に関することなど内容の充実を図っている。
(5) その他、次のようなことも行っている
・各学期末の個別懇談会
・夏季休業中の夜間に行う地区懇談会
・掲示活用のための「門田小のよい子」の各家庭への配布
七、反省と今後の課題
(一) 授業の質的改善について
研究を通して全職員の授業に対する関心や意欲が高まり、基本に即した授業の進め方や資料分析と発問構成等が容易になり、周到な準備をして授業に臨むようになった。
しかし、学級集団における多様な価値観の引き出し方や磨き合いの学習、意図的指名による個を生かす工夫等はまだ不十分である。
(二) 道徳的実践の指導について
基本的生活習慣の確立ということで「三あ運動」に的を絞り集中的に指導し、その定着化を図ったことは効果的であったが、学級差、個人差のあることも確かである。今後も理解と賞賛を与えつつ、工夫を加えて根強い指導を続けたい。
(三) 家庭との連携について
前述の諸活動を通して積極的な連携を図った結果、父母の理解と関心が高まり、意識的に家庭における道徳教育をしているという声が多く聞かれるようになった。この連携を持続発展させていくのが今後の課題である。
以上、これまでの研究を省みて、児童の人格形成にとって「道徳の時間の指導」と「日常の実践指導」は車の両輪であり、どちらも軽視できないことを実践を通して確認することができた。
−道徳的心情を育みながら基本的生活習慣の定着を図る−
いわき市立勿来第二中学校
一、主題設定の理由
道徳教育が、学校における道徳の時間の指導を軸に、教育活動全体にわたって展開されているものの、果たしてそれが着実に根をおろした充実したものになっているかを、反省してみる必要がある。
また、生徒が現在・将来において、道徳性を主体的なものとして確立していくには、家庭教育に負うところが大きいことも事実であり、一層協力を得ることが、その万全を期す必須の条件になってきている。
故に学校と家庭とがよく連携し、学校教育、家庭教育の中で、着実に道徳性を養いながら、最も人間としての生き方の基盤ともいうべき基本的生活習慣を身につけさせ、現在、将来において道徳的実践のできる人間(生徒)の育成をめざし、標記の研究主題を設定したのである。
二、研究内容
(一) 研究推進の基本的構想
(1) 本校教育目標具現化のための道徳教育のあり方について検討し、具体的実践計画のもとに、全職員の共通理解と研究体制の整備を図ること。
(2) 道徳教育についての理論的研究を深め、道徳教育全体計画の改善と、道徳の時間の指導技術の研究、関連する資料の整備を行うこと。
(3) 教科等他領域における道徳教育の改善を行い、あわせて生徒指導との関連を図りながら、基本的行動様