教育福島0107号(1985年(S60)12月)-013page
書室並びに教育相談室、校長室入口等に、道徳教育関係文献、資料を整備し、特に、本校の研究主題との関連で、「しつけ」についての文献収集充実に努め、関心を高めるようにした。
なお、委員及び保護者のグループ、個々の研修室は図書室とし、常時開放してその便を図った。
2)道徳の時間の公開
道徳の時間の学習事項を、家庭にも知ってもらい、ともに考え、実践化を図るという点で、各種の方策を企画したが、その一つとして道徳の時間を学期一回公開し、その内容について周知を図った。
特に、道徳の時間の指導が、家庭でもどのように生かされるか、これが研究のねらいの一つでもあり、また、学校と家庭との連携によって道徳性を養い、なおかつ生活の基本の定着をという念願からも、この公開は研究主題達成にせまる企画ともなつた(毎回の出席率は八十パーセント台を維持)。
3)道徳教育学習教室の開催
保護者に道徳教育そのものを理解してもらうには、道徳教育のイロハからということで、道徳教育にかかわる学習教室を開催し、学校長、教頭、研究主任を担当者として、学年をローテーション方式で指導にあたり、その啓発に努めた。この方の出席率も常に八十パーセントを越えた。
○内容としては
・明治、大正、昭和の各時代を通し.て、道徳教育実施に至るまでの過程
・本校の研究推進にあたっての意図
・家庭教育が、道徳教育にどのような関連をもち、影響を与えるか
・本校の教育目標の具現と、家庭や地域の協力体制
・道徳教育と家庭の機能
・学年の発達段階に応じた、道徳教育の基本となるものは何か
・しつけ(一年)→習慣化(二年)→実践化(三年)への意欲づくり
・道徳の時間の学習内容を家庭の場でどのように生かすかなどである。
この学習教室では、回を重ねるごとに質問や感想の発表もあり、生徒が学習する道徳の時間の形態に様相が変容してきたことで、学校側にとっても参考資料となり、研究意欲もかきたてられた。ただ、問題点としては、やはり全体的にオープンで話し合えるようなムードづくりが大切で、これはこの教室の展開の内容工夫に待つところ大きく、とかく一方通行的になりがちなものを、ブリッジ方式に改善したいものと考えている。
4)「道徳教育のしおり」の発行
道徳教育の概要を知ってもらうために、現在まで三号を発行。
第一号では、道徳教育そのものと日常生活での身近な関連事項を、第二号では、本校の道徳教育推進校としての研究内容を、第三号では、第二年次の研究の進め方と、学校と家庭との連携のあり方を、というように、段階的に家庭側が把握できるよう編集した。
○各号の内容
・第一号道徳教育、道徳の時間、道徳の時間の見方、しつけ、学校と家庭との連携の重要さ、ほめること、しかること、信頼、エチケット(マナー)、テレビと道徳教育、道徳性を育てる。
・第二号本校の教育目標と道徳教育、本校道徳教育のめざすもの、本校における研究への取り組み方、道徳教育と生徒の月別生活目標、推進組織並びに分担内容、付ろく。(生徒、家庭、地域、学校代表の感想文など)
・第三号第二次研究推進の要点、資料他
5)「道徳教育家庭通信」の発行
学校と家庭との連携をすすめる上で、この家庭通信(以下通信と省略)は大きな役割を果たしている。編集の方針としては、
・研究内容にふれる(研究推進上の各事業等)。
・道徳教育にかかわる身近なものをとりあげる。
・生徒の道徳的な動き(善い面、悪い面)を知らせる。
・道徳の時間とのかかわりを考慮する(資料を載せ、それをもとに家庭で話し合うように)。
・家庭や地域に協力してもらいたいことも適宜どりあげる。
・家庭で話し合い、実践化へすすむような事項をもりこむなどがあげられ、以上のようなことを内容として、現在に至っている。
この通信で特に配慮したのは、生徒の行動の善い面も悪い面もオープンで知ってもらい、家庭で、そのことにどのように対処してもらうかにあった。
また、適宜、道徳の時間の進め方や、使われた資料を載せ、関心をもっていただき、道徳の時間と家庭教育とのかかわりを図ろうとしたことである。この裏には、道徳の時間で学習’し内面化したものを家庭や地域で実際に行動や態度に移すというねらいもあった。
6)PTA新聞による側面的な援助
年三回の発行であるが、推進校指定により、道徳教育関係記事を載せ、道徳教育の研究推進を側面から援助している。三回発行のうち、一回は座談会特集で、家庭教育と道徳教育のかかわりで、会員の参考資料になるような内容を組んでいる。
三 生徒の変容と家庭の変容
(一)生徒の道徳教育への意識の変革