教育福島0107号(1985年(S60)12月)-014page

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(1) 生活行動基準と生徒の行動

生徒指導部では、道徳教育研究と関連して、一日の生活行動について登校から下校までの細部にわたる行動基準を設定し、それに即応した形で生徒が学校生活を過ごしているが、基準と実際の行動を考察してみると、あいさつ、礼儀、学校保健全般等についてはかなりの向上をみせている。意識的には、やらせられるという考えが、自分たちの手で、というように変わってきたのはプラスの面であろう。

(2) 月別生活目標とその実践による反省

月を追うごとに、目標にそっての週ごとの自己評価(A、B、C)にもかなり真実味が増し、反省でも、次の月はもっと良くしよう、注意しようという向上心がうかがわれ、さらに家庭の激励もあって、自律的な面がゆるやかではあるが、育まれつつある。

(二) 道徳の時間における生徒の活動

教師のリードにもよるが、生徒側に働きかけに対する反応など、発表力が向上している。事前の課題については、家庭と話し合って考察する生徒も現われている。

(三) 道徳的実践への移行

本校の研究主題とも関連するが、指定前よりくらべ生徒に主体生が生じてきている。生徒会役員を中心に学校内外において、善行行為が増えつつあることは好ましい傾向である。

(四) 家庭、地域の変容

月別生活目標についての家庭の感想や、家庭における基本的生活習慣の定着度アンケート評価から、道徳的に我が子を見る目が変ってきたことは事実で、特にきびしさが増し、「しつけ」「習慣化」「実践化」へと、家庭によって差はあるものの、家庭教育上の配慮がみられ、地域そのものも、生徒の持つ良さを認め、それを助長しようとの動きに変りつつある。

 

四 反省と今後の課題

 

本校の研究は、学校と家庭を両輪としての展開であったが、研究のスタートにあたって憂慮されたのは、家庭や地域の道徳的レベルはどの程度なのか、たしかに教育については協力的であるが、道徳的となると内容はちがってくる。意識調査でも本音が出るかどうか、など疑問の点が多かった。

しかし、生活行動の基準、道徳教育全体計画、諸計画等の見直し、PTAや地域との連携と、主題にせまる経過は順調だったようである。生徒たちも善なる行為をと、そのような方向に進みつつある。

最後に、今後の課題としては、次のような事項があげられよう。

○研究主題の妥当性とその検証

○道徳の時間の指導と道徳的実践力の育み方

○道徳教育と自己教育力の育み方との関連

○地域に対する道徳教育の啓発促進

 

−生活をみつめ、よりよい生き方をめざす子の育成−

 

相馬郡小高町立小高小学校

 

昭和五十八、五十九年度文部省より道徳教育協同推進校の指定を受け、町内小学校四校(金房小・鳩原小・小高小・福浦小)と中学校一校(小高中)が、同一研究主題のもと二か年の研究実践を推進してきた。本年度は、残された課題解決に向けて学校経営をすすめているところである。

本稿は、協同推進校の一員としてすすめてきた本校の実践から、これまでの研究の成果をふまえて主として、道徳の時間の展開と地域との連携についてまとめたものである。

 

一、実践の背景にあるもの

 

(1) 学校の生活

指定前年度の学校経営の反省で、長所とみられる事項を集約すると、具体的な行動のめあてがあることや、何をすればよいのかが明確であると児童の行動が見えてくること、また、体育的行事などを再配列してみると年間を通して、体力づくりの流れが構成できることなどがわかった。このことから、従来の学校生活を見直し、「学校暦」を構成して節目のある生活ができるよう考えた。

(2) 児童の生活

児童の生活を見つめて気づくことは年々戸外で遊ぶことが少なく、家にこもる生活が多くなっているということである。この生活の変化は「いまの子どもたちは、地域社会を素通りして、家庭を往復する生活を続けている」と指摘されている生活状況で、児童の物事の見方、考え方、友人関係などに多様な変化をもたらしている。

(3) 学校の課題

今日、大きく変化していく児童の生活を抜きにして道徳教育をどう展開するかを考えないわけにはいかない。児童の生活状況をふまえて、あらためて道徳教育の重要性、道徳教育の充実を志向しなければならないということである。このことから、本校では以前に増して、地域社会(家庭)との連携を強めながら「道徳の時間」の指導の充実を図ることの重要性を認識した。

 

二、実践の内容

 

(一) 指導計画の改善

学級における道徳教育の第一歩は、学級の指導目標を明確にとらえるということである。

 

 

 


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