教育福島0107号(1985年(S60)12月)-017page

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を含めた地域全体の教育機能を高めていく働きを担っているものである。

そして、さらに個々の家庭に働きかけられるものとして、何ができるであろうか。

学校と家庭との共通の課題は、一の項で提起した児童の生活を基本的なところがら見つめ直して、より健全な児童の生活をどう築いていくかということが、今、必要であるということである。

児童の生活を基本的なところがら見つめ直す、といっても具体的には何を、どうしていけばよいのか。ひとつの試みとして、各家庭において年間を通して生活の節目(行事)をおさえ「めあてをもった生活」を体験させる働きとして「子どもの生活暦」つくりを呼びかけた。図4は、親と子がつくりあげた「子どもの生活暦」の一例である。

子どもの生活暦つくりは、

・ 生活のあり方を考え、話し合う機会となる。

・ 家族のふれあい、つながりを深めていく機会となる。

・ 子どもにめあてと希望をもたせる機会となる。

・ 親と子が一緒になって働く一仕事をする)機会となる。

・ ふるさとにつながる思い出つくり、豊かな感性を育てる機会となる。

以上のことを願うものである。

しかし、こうした計画を実行していくことは難しく、忘れられたり、無視されたりしてしまう場合もあり、学級や学校が協力し、粘り強く支えになって経過をたずねたり、励ましを与えたり、懇談を重ねたりする努力があってはじめてよい結果が生まれる。この関係をつくりだすことが重要なことで、家庭と学校が一体となる要素がここにあると思う。

 

四、生活を築くポイントは学級に

 

児童の生活は、地域社会の変化と深くかかわりを持ってきびしい状況の中におかれている。このような状況の中で意図的に児童の生活について組み立てられる場面は、学校生活(学級生活)以外にはないのではないか。

「地域社会の遊び集団がなくなっている現代では、学級で経験する事実が子どもたちの発達にとってきわめて大きな影響力を持っている」といわれていることに着目したいと思う。

このことから、本校の重点目標である「めあてを持って実践する子の育成」、そして大きな課題である「人間性豊かな子どもの育成」の視点から、学校、学級生活に要請されるものは、「節目のある生活」をどう組み立てていくか、を具体的に用意することである。前項の家庭における「子どもの生活暦」に対応して、「学級の生活暦」という形で学級生活の充実を図ろうと考えたのである。(図5)

学級の生活暦というのは、一年間の生活の流れと節目をどう設定していくかということで、学級の主たる課題である「学力をつける」「体力をつける」「生活をつくる」という視点から、しかも、それらを包みこんだ大きな流れを大筋であきらかにしておくことではないかと考えて.いる。現在、学期毎に区分し、実践しているところである。従来の学級経営と何ら変わるところはないのであるが、担任が意識して「生活をつくる」という生活体験を積み重ねていこうとする構えが強められていることが特色とみることができよう。節目に向けてある期間努力しあって学級全員が高揚した思いで「やった!」という実感が残せるようにしたいということである。

このような学級生活の流れの中に、道徳の時間が位置づけされていくことが、道徳教育の充実に深くかかわっていくものであると確信するのである。

 

図5 なかまを いっぱいつくろう

学級の生活ごよみ 3年1組

 

 

 

 


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