教育福島0107号(1985年(S60)12月)-036page

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研究実践

レポート

 

生き生きとした図画工作科の授業をめざして

いわき市立小名浜第一小学校

教諭 沢宏一

 

−解説−

 

本論文は、昭和五十九年度公立幼・小・中・養護学校教職員研究論文の入選論文です。彫塑学習において、素材体験を取り入れ、意欲的に学習に取り組ませた実践研究として高く評価されました。

 

一、研究の趣旨

 

図画工作科の授業において、製作時間が六〜七時間に及ぶとどうしても、製作意欲がうすれがちになる。

意欲を持続させるためには、表現欲求の高まる題材を選択することはもちろんであるが、児童が題材にどれだけ深くかかわりをもっかということが重要である。

本校の児童の実態を見ると、ものの形、しくみ、構造などについては、単なる知識としては十分すぎる程知っているが、表現活動に生かすまでにはいたつていない。つまり、造形活動の基盤となる材料に対する体験が不足しているので、材料のもつ特質や可塑性までは体得していない。本来の造形活動は手を十分に使い、肌で感じ、目でとらえ、鼻でかいで、耳で確める、いわゆる五感を駆使する活動であるから、様々な体験を通して、材料にふれさせることが大切である。

材料に対する体験は、遊びを通して一層深まるものと考える。遊びは、低学年だけのものではなく、発達段階に応じた遊びがあるはずである。中学年以上では、集団活動が組織的になり、身体的活動や精神的活動が活発になるから、遊びが多様な広がりをみせるものである。そこで、次のような仮説をたてて研究に取り組むことにした。

 

二、仮説

 

小学校六年生の彫塑学習において材料体験の場を設定してやれば、材料のもつ特質を製作に生かすことができるので、生き生きと授業に取り組むであろう。

 

三、研究計画(略)

 

四、実践

 

具体的な実践にはいる前に、材料体験の意義や目的などを次のようにとらえた。

(一) 材料体験の意義材料に触れることを中心に、その色や形や肌を表象し、形態や機能を見つけるなど材料のもつ特性を認識させる。

(二) 材料体験の目的材料のもつ特性を体験的に知り、豊かな発想を育て創造活動の基礎を培う。

(三) 材料体験の評価材料体験をすることに重点があるのだから、作品そのもののでき具合を評価するのではなく、むしろ各個人の活動過程を評価する。

(四) 材料体験の留意点

1)材料体験をさせるのに適した季節や時間を考えて取り入れる。

2)材料の集め方・管理のし方・保管のし方を工夫する。

3)材料体験をさせる場所を確保する。

4)適切な材料の使い方や正しい用具の取り扱いを十分指導し、事故防止につとめる。

5)児童一人一人の個性を重んじ、個人差に応じた指導をする。

6)教師は、事前に材料のもつ特質について十分研究を行い、綿密かつ弾力的な計画を設定し指導に当たる。

7)過剰な指導や助言をさける。

8)野放しに遊ばせるのではなく、児童の実態に即して興味ある活動をさせる。そして、自主的で集中的、

 

資料1.材料体験の場

 

 

 

 


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