教育福島0107号(1985年(S60)12月)-037page
継続的な造形活動が展開されるようにする。
材料体験の場は、図工科の授業にとどまらず、創意の時間や放課後などに設けた。また、教師側から一方的におしつけるのではなく、児童の発言を大切にし、話合いによって進めた(資料1)。
検証授業に当たっては、次のような方針で実施した。
(一) 年間計画では四時間扱いの題材なので、四時間分の検証授業を行う。
(二) 材料体験の目的を達成させるため指導過程の中に材料体験の場を設定する。
(三) 六年生の彫塑学習における基本的事項をおさえて指導に当たる。
(四) 材料の特質を理解させるため、目かくしをして製作したり、粘土でたし算やひき算をするといった触覚を重視した活動を取り入れる。
(五) 自分たちで作った粘土を使って製作に取り組ませる。
(六) 授業の終わりに意識調査をする。(資料2)
六、研究のまとめと今後の問題点
(一)与えられた粘土や市販の粘土で製作するのとはちがって、粘土作りから取り組んだことによって、一人一人の子どもたちの生活経験が広がった。粘土を水簸する段階でも様々な遊びを考え出している姿がみられた。
(二) 授業の中に材料体験の場を設定した結果、直接製作に入るよりも意欲的に取り組んでいた。このことは粘土遊びで得た粘土のもつ特質が製作に生かされたためであろう。
(三) 材料体験の意義や目的・材料のもつ特質などを明確にしたことは、高度な指導にエスカレートすることがさけられ、指導の重点化という点で有効であった。
(四) 土粘土を用いた彫塑学習では、材料体験の有効性が発揮されたが、他の領域でもあてはまるかまだわからない。絵画・工作・デザインなどの領域でも検証していきたい。
資料2 意識調査とその結果
資料3指導過程(一部)