教育福島0107号(1985年(S60)12月)-038page

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教育センターから

 

小学校理科講座の紹介

授業研究を主とした研修

 

はじめに

 

当教育センターで実施している小学校教員対象の理科講座には、小学校理科(A)講座、(B)講座、(C)講座がある。

その中で、授業研究を取り扱う研修講座に、小学校理科(A)講座と小学校低学年理科(B)講座がある。(A)講座は前、後期二回の断続研修で、理科主任を、(B)講座は低学年担当教員を対象としている。この二講座は、理科の観察、実験の指導法や授業の在り方について研修し、その識見と指導力を高めることをねらいとしている。以下、二講座の研修内容の中で、授業研究の内容のみに視点をあて概要を紹介する。

 

一、小学校理科肉講座

 

本年度は、文部省教科調査官・奥井智久先生を招へいし、今日注目されている「活動目標による理科授業」について講義をいただいた。今後、活動目標は、一層重要視されるという講義をふまえて、活動目標一よる授業研究を実施した。

(一) 奥井智久先生の講義から

『これまでの授業研究では、教師のもつ指導目標を巧みに子どもに伝授することに力が注がれ、子どもは二次的存在であった。これに対して「活動目標」は子どもが教材と対面したときにもつ自己学習目標である。昨今の自己教育力=自己学習力の育成を重視する風潮の中では、子どもの自己目標としての活動を引き出し、それを伸ばし、発展させていくうちに、教師の指導目標も同時に充足させるような授業が必要である。

「活動目標」の位置を明確に表現すると左図のようになる。

 

体的な実践例を紹介された。なお、研修者からは、次のような感想があった。

 

「活動目標」は、自己教育力の育成を毎時間の授業レベルにおろしたものである』と述べられ、これらの内容について、具体的な実践例を紹介された。なお、研修者からは、次のような感想があった。

「活動目標研究の第一人者からの講義は、感動的であった」、「豊富な事例の中で、子ども自身の不安な状態が学習を成立させるという話は“はっ”と目を開かせる言葉であった」、「わかり易く、今後の授業実践に役立つ」。

(二) 授業研究

1) 事前研究

(ア)教材の分析

この研究に先だち、研修者各々が「ものの重さとてんびん(四年)」の単元を用い、単元の目標及び構造を明らかにするとともに、児童の実態をふまえ、指導計画及び活動目標を検討し、指導案の素案を準備した。

(イ)指導案の作成

○研修者が各自の指導案を持ちより班ごとに協議検討し、班としての指導素案をまとめる。

○班ごとの素案を持ちより、協議を経て、ひとつの指導案にまとめあげる。

2) 授業観察

本年度は研修者の中から、福島市立第四小学校の小川信晴教諭に授業を提供していただき、事前研究の中で、主として問題にしてきた「活動目標による授業」という観点から授業を観察した。なお、観察は、教師のはたらきかけ、児童の活動、抽出児の活動、資料の活用について分担し、その記録をもとに事後研究を行った。

3) 事後研究

(ア)授業記録から問題点を出し合い、各班ごとに図1の授業研究評価表にまとめた。

(イ)授業の考察と今後の問題点の話し合いから、次のような内容を確認し合った。

◎ 教師の一方的な指導パターンにおちいることなく、児童一人一人の自由な発想や活動を中心にした授業にすること。−この授業では、てんびんに直接触

 

奥井智久先生の講義(活動目標とは)

奥井智久先生の講義(活動目標とは)

 

 

 

 


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