教育福島0107号(1985年(S60)12月)-040page

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派遣教師の目

●県外交流の教師の目から

●アメリカ人による英語指導から

 

本県では昭和四十六年度より、鹿児島県との間で「県外人事計画交流」を実施しています。

この制度により、現在まで本県から鹿児島県へ、小・中学校関係で十名、高等学校関係で五名の教員を派遣しています。また同時に鹿児島県からも同数の教員が本県に派遣されています。

本号では、両県より派遣された先生方から、本県教育を外側から見るとして本県及び鹿児島県の教育について感想を書いていただきましたので、本県教育の向上の参考に資していただければと思います。

また、本県では、文部省の計画によりアメリカ人英語指導主事助手が配置されています。これは国際交流の推進の上からも重要な事業であり、その教育効果が期待されています。そこで本年派遣されている県教育センター英語指導主事助手のカール・サンドバーグ氏に執筆していただきました。英語教育のあり方について一考していただければと思います。

 

本県から鹿児島県へ

 

鹿児島県大口市立大口小学校教諭

鈴木信正

 

郷土愛を貫く鹿児島の教育

 

うよう、祭り好きで友好的である。教育にも熱心であり、協力は万全である。

 

大口市は、古来、北薩の中心として栄えた人口約二万七千人の街である。また、県でただ一つ海を持たない当市は、豊かな水と木と田畑に恵まれ、焼酎発祥の地としても名高い。人々は、おうよう、祭り好きで友好的である。教育にも熱心であり、協力は万全である。

当市出身の作家海音寺潮五郎先生の望郷の歌「ふる里のさつまの国は空あをく、ただあをあをと澄み通るなり」が、ぴったりのゆかしい街である。

 

私の勤める大口小学校は、児童八百六十三名を擁し、管内最大の規模を持つ。校長先生以下三十七名の教職員が、子どもたちのため身を粉に働いている。

次に、本校教育の目標を挙げてみる。

◎ 強い体と豊かな心情を持ち、自ら気付き深く考え、正しく判断し実践できる子どもを育成する。

(一)学校像−環境が整い、美しく風格のある学校、他に、創意、生気、教育愛に関するもの三項目。

(二)教師像−子どもを愛し子どもとともにある教師、他に、人関性、自覚、研修、信頼に関するもの四項目。

(三)児童像−やさしく心豊かな子ども、他に、学力、体力、道徳的実践力に関するもの三項目。

 

鹿児島県は、「ぬくもりに満ちた偉大な鹿児島を創ろう」という一大目標を掲げている。鹿児島県教育は、これを受けて、郷土を理解し郷土を発展させるのに有為な人材の育成を重点とした。さまざまな教育の場で、県民の期待と信頼にこたえるべく、国際化社会を意識した地方色豊かな教育実践が論じられている。鹿児島県民は、実によく議論する。伝統を重んじ進取の気風がみなぎる鹿児島県ならではの郷土教育が進められる中に、ある種のうらやましさを感じる。地域社会に密着した学校教育と、これを熱烈に支持する保護者等の心情を知ったからでもある。

次に、本校での郷土教育を紹介する。

一、山坂達者(体力作り。昔、当地の領主が家来に荷を負わせて坂道をかけ上らせた故事による)の推進

本校は、今年度より二年間、県教委の指定を受けた。子どもたちは、アスレチック.マラソンコースで、自ら体力作りに励んでいる。半袖、短パンでの早朝運動は、気温五度以下という冬季も続けられる。大口は「鹿児島の北海道」とも言われるが、教室に暖房設備は一切ない。

二、一日一汗運動(徳育。勤労生産活動)の推進

学年相応に草花を選び、一人一鉢栽培を行っている。一年中花の絶え間がない。現在は、真っ赤なカンナとサルビアが白い校舎を囲み、大輪の菊が出番を待っているところである。

三、朝読み夕読み(情操教育)の推進

読書習慣の定着とともに、作文コンクール応募や公共テレホンサービス参加など、意欲的な取り組みが見られる。

四、郷土の歴史や文化等の理解促進

子どもたちは、郷土の歴史を主題にしたオペレッタや棒踊り等の郷土芸能に進んで挑戦する。これらは、創意の時間のふるさと祭りと学習発表会とで上演され、毎年好評を博している。

 

本県(大口)の子どもは、第一にすばらしい体力を持っている。校内の体

 

 

 


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