教育福島0107号(1985年(S60)12月)-048page
美術館だより
「拡大常設展示」案内
美術館では、常設展示室で所蔵作品を常時公開し、三か月に一度の展示替を行っています。これに加え、一年に数回、企画展示室Bを利用して、各種のテーマのもとに所蔵作品を公開する拡大常設展示を開催しています。
今回のテーマは、前期が「春日部たすくの作品」。水彩画運動の指導者として活躍され、本県美術の振興につくした春日部たすく氏(本年九月十六日逝去)の画業をしのびます。後期は、日本美術院で活躍した小川芋銭が、福島の風物を描き、全長十三メートルを超える絵巻とした「細道絵日記」を全巻公開します。
また、これと併せて、前、後期とも「福島の美術家たち」と題し、彫刻、工芸、書を展示します。
拡大常設展示は常設展の観覧料で、常設展と併せて御覧いただけます。
〔拡大常設展示〕
○前期(十二月七日−十二月二十七日)
春日部たすくの作品
福島の美術家たち(彫刻、工芸)
○後期(一月十日−一月三十一日)
小川芋銭「細道絵日記」全巻公開
福島の美術家たち(彫刻、工芸、書)
「美術館への年賀状」
作品募集
県立美術館では、県内の小・中学生から版画・はり絵・描画など手作りの楽しい年賀状を募集します。
年末に通常の年賀状を出す時と同じ要領で美術館宛に送ってください。
お送りいただいた作品は一月に「美術館への年賀状コーナー」に展示します。子どもたちの多彩な表現と豊かな感性をお楽しみください。
主催=福島県立美術館
展示期間=昭和61年1月11日(土)〜31日(金) 観覧無料
作品内容=県内の小・中学生がハガキを利用して、年賀状のために本人が製作したもの1点とする。表現技法は自由。
送付要領=はがきの発信人欄に住所・氏名・学年を記入すること。
受け付け=昭和61年1月1日〜5日までに届いたものを展示します。
賞の授与等の顕彰は行いません。
送り先
〒960 福島市森合字西養山一番地 福島県立美術館 年賀状係
春日部たすく作「描曼茶羅」1958年・紙・水彩
たくさんの応募があった年賀状展(昨年度)
収蔵作品紹介
「冬の水車小屋」
アンドリュー・ワイエス作
雪煙の舞う冷たい空の下に、ひっそりと立つ水車小屋。現代アメリカを代表する画家アンドリュー・ワイエス(一九一七〜)の作品です。
彼は、自然と人間の間でくりひろげられるドラマを、自分の身のまわりの風物を題材にして、精微な筆使いで描き続けています。冬の情景を描いたこの作品では、水車小屋の壁や樹木の描写に、彼の卓越した技量が見られますが、そうした写実的な表現を通して、厳しい自然と向きあって生きる人間の営みを感じとることができるでしよう。