教育福島0110号(1986年(S61)04月)-024page

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導研究校としての二年目であり、更には最高学年として常に学校の先頭となり諸活動をやらなければならないという責任から、自分も生徒も、学年当初にして、精神的にも肉体的にも疲れきっていた。まさに地に足が着かない状態であった。その都度、自分は生徒たちに、「しっかりしろ、自覚が足りないぞ」、「そんなことでどうする」などと喝を入れるばかりだった気がする。三年生なんだという重みばかりを考え、進路のことを意識するあまり、焦りも伴って、生徒たちに「勉強もやれ、部活動もやれ、生徒会活動もやれ」と怒鳴り続けたのである。自分の焦りとは別に、生徒たちは、益々疲れ切った表情になってしまっていた。そんな時、ある先生の助言で目的を見失っていることに気づいた。それから、自分も少し楽な気持ちで、一学期は部活動中心、それからは学習中心という方向づけを立て、指示することにした。

以後、生徒たちは目の色を変えて部活動に臨み、確実な成果を上げ、他の活動にも熱を入れてがんばることが出来た。でも夏休みに入ってから、第二の壁に突き当たった。学校の活動の中心が二年生に移り、迷いを見せ始めたのである。次は進路希望達成のための学習に心掛けなければと思いながらも、頭が切り換えられないのである。

しかし、何回となく開いた学年集会で、先生がたの体験、助言が熱っぽく語られるに伴い、三年生全員が、「全員合格しよう」という強い決意と合い言葉が生まれた。それは今まで、東北駅伝大会の優勝をはじめとする部活動での活躍、それに侮い残すことなくやれた諸活動に裏打ちされた自信からだと思う。「やればできる」、「苦しい時が勝負」という自ら築いた教訓をしっかりと胸に刻み、各自の目標に向けてのがんばりは頼もしい限りであった。そして迎えた三月十九日、心の底から、全員合格の喜び、感激に浸ることができた。

先に進路先が決定している生徒も全員顔を揃え、互いに三年間の思い出を胸に、喜びの中でそれぞれの道へ向かって出発して行ったのである。

(平田村立蓬田中学校教諭)

 

社教主事一年生

 

大山茂樹

 

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  <p>会津盆地は、四季のめりはりが実にはっきりしている。 「西勝の彼岸獅子」が、町内の家々をまわって歩くころになると歴史と文化の町会津高田にも春が、駆け足でやってくる。 
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  <p>三月末から四月初めにかけては、転勤のシーズン。赴任のセレモニーは、送る人、送られる人の心を引き締める。「会津の冬は、厳しいから、からだに気をつけよ」、「社会教育は、人間関係を大切に」、「本当のボランティア精神に徹せよ」など先輩や同僚からアドバイスを受け、湯本高校から派遣社会教育主事(スポーツ担当)として会津の地に赴任したのが、ちょうど昨年のこの時期だった。</p>
  <p>気候、風土、人情の異なる会津での生活も一年目が過ぎようとしている。長いようで短かく感じられた一年だった。なにもわからず無我夢中で過ごして来たのだろう。暗中模索の中、いたづらに月日が流れて行く。教育の世界の限りなく広く、限りなく厳しいことを改めて感じさせられると同時に、自分の狭さをいやと言うほど思い知らされた一年でもあった。</p>
  <p>このような環境の中職場や地域社会での生活を通して、励まし勇気づけてくれた多くの人たちとの出合いを忘れることができない。「ウオークラリー大会を是非やってみたい」と言って、夜、雪の中訪ねてくるKさんもそんな中のひとりである。自分の地域(行政区)の体育部長をしているKさんは、スポーツが好きで仲間づくりや面倒みのよい指導者である。</p>
  <p>夕食後の家庭バレーボール、壮年ソフト、卓球、バドミントンなど地域スポーツ活動との出合いを提供してくれたのもKさんである。「くつろぎ」の「気晴し」のスポーツを地域住民と一緒に満喫できたのもすばらしい収穫だった。 「人間は、遊戯している時だけ真の人間である」と言うこの言葉に、深い真理があることを改めて認識させられた思いがする。さらに地域スポーツを促進する上で、地域住民との人間関係を大切にすること、ボランティア精神に徹した指導者が大事なことなど体験を通して痛感させられた。</p>
  <p>人との出合いの中からいろいろ学ぶことが多かった。今後とも出合いを大切にして自己の成長の糧にしたい。</p>
  <p>派遣二年目の今年は、社会教育振興計画策定の年である。「生涯教育の理念」をどう位置づけるか、「町民憲章」をいかに具現化するか、「社会教育調査」をどうするかなど多くの重要な課題をかかえている。学校教育さえ満足にできなかった者にとって、まさに試練の年になりそうだ。</p>
  <p>「人生は、学校である。そこでは、幸福より不幸の方がよい教師である」教師としてスタートした二十数年前に聞いた言葉である。この言葉の意味をよくかみしめながら新年度を迎えたいと思う。</p>
  <p>(会津高田町派遣社会教育主事)</p>
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