教育福島0110号(1986年(S61)04月)-046page

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生涯教育インフォメーション

 

一人一人の学習機会の拡充をめざして

 

高郷村教育委員会

 

Information

 

一、はじめに

 

会津若松から西へ二十キロメートル余、会津盆地を囲む峠を越した山里にある小さな村。面積四十六平方キロメートル、人口わずかに三千人弱。雄大に流れる阿賀川の段丘は、「耶麻化石動物群」の産するところとして知られ、カイギュウやアシカなど貴重な動物化石が多数発見された。また、旧石器時代の塩坪をはじめ遺跡や古墳群は村内全域におよび、河畔はまるで「考古学の宝庫」さながらである。豊かに広がる自然と多くの文化遺産に囲まれた高郷の地で、「豊かで活力ある理想郷たかさと」をシンボルテーマとして、生涯教育の理念を踏まえての新しい村づくりが進められている。

 

二、教育立村“高郷”と生涯教育

“人が豊かになれば、むらが栄える、むらづくりの究極は人づくり”という教育立村の村政の柱を受け、一人一人の生きがいを見つけ、育てるために」を基本テーマに昭和五十九年十二月に策定された「高郷村社会教育振興計画」により生涯教育推進の方向づけが明確にされた。すなわち、生涯教育の効果的な推進を図るためには、住民に密着する村自体が中心的な役割を担うことが重要であり、生涯教育の考え方について村民各層の共通理解を深めると共に、各種の教育事業等の総合調整を図るための推進体制の整備が基本的な課題とされた。これに基づき、昭和六十年度を高郷生涯教育元年と位置づけ、県生涯教育推進本部よりモデル村として指定を受け、関係機関の指導のもとにその推進を図ってきた。

 

三、推進体制の整備

関連事業や関係機関の総合調整を基盤に、家庭・学校・社会のそれぞれの教育機能の一層の充実をねらい、生涯教育推進会議が発足してから一年が経過した。この間、生涯教育推進について貴重な提言がなされたが、多くの委員が最も驚いたことはこんな小さな村でありながら、自分たちの機関・団体の知らない関連事業が数多く行われていたことであった。そして、それらの事業が多くの場合「特定の」人を対象に、「特定の」内容を、「特定の」時間、場所で行われている実態に対して、あらためて相互の連絡調整の必要性を確認し合った。「いつでも、どこでも、だれでも」学習できる体制を整えるためには、この連携が不可欠の条件である。本村のような小さな村であればあるほど、事業の重複や競合をさけ、相互協力の精神のもと、事業の統合化を図ることが、財政的にも村民の学習機会の充実という点からも極めて重要なことと思われるのである。公民館の「スポーツ民踊教室」を商工会や農協の婦人部との共催にしたりへ少年教室と青年会・老人クラブが共同で環境美化活動を設定するなど具体的な試みが見えてきた。

 

四、基礎的条件の整備

(一) 地区公民館活動の充実各地区民の心のつながりを育て、住みよい地域づくりと生涯学習の機会の拡充を目指して、村内二十一の地区公民館ごとの特色ある活動が行われている。地域の伝統行事の復活やスポーツ活動のほか、あいさつ運動・ゴミゼロ運動・花いっぱい運動などの実践活動を世代間交流の中で成果を上げている公民館も見られた。

(二) 移動文庫の拡充公民館図書を日常生活に密着した形で利用できるよう商店や学校など十数か所に移動文庫を開設した。

 

高郷生涯教育元年スタート(第1推進会議)

高郷生涯教育元年スタート(第1推進会議)

 

 

 


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