教育福島0110号(1986年(S61)04月)-047page

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一か所五十冊、二か月ごとに配本替えをしているが、利用者はうなぎのぼりであり、貸出し数も前年度に比べて四倍に増加した。

(三) 情報提供事業

いつでも、どこでも、なんでもできる学習機会を充実させるために、学習に関する情報を収集し、必要な学習相談に応じる「相談窓口」を開設した。情報は学習・文化・スポーツの三分野にわたり、事業・施設・指導者・教材の四領域およそ三百点を調査・収集した。

学習相談は、相談員制度は設けず、公民館職員が備えつけの資料に基づいて実施した。

(四) 生涯教育人材活用事業

地域の生涯教育の各分野において活躍し、指導的な役割を果たしている有能な人材を発掘すると共に、これらの人々を広く紹介し、村内の生涯学習活動に対する指導助言を得ることにより本村の生涯教育の推進を図ることをねらいに人材銀行を設置した。この銀行の登録者は、七領域延べ百八十名に及んだが、一年目は情報不足ということもあって延べ六十数回の活用にとどまった。

村民総ぐるみの生涯学習推進上、指導者の発掘育成は大きな課題であり、このシステムが軌道に乗ればかなりの成果が期待できるものと思われる。

(五) 「生涯学習たかさと」の発行

広く村民の理解と協力を得て、村民総ぐるみの生涯教育を推進するため、情報紙「生涯学習たかさと」を発行し村内全戸に配布した。

生涯教育についての考え方や各時期における発達課題などを特集ぺージとして組み、その他各団体の事業案内、学習活動の様子、団体・施設紹介などを中心に編集。B5版四ページ、年六回発行した。

(六) その他のモデル事業

・少年教室プログラム開発

・生涯教育講演会の開催

 

五、学校教育と社会教育の連携

生涯教育の理念に即しての学社連携は、実践の段階を迎えており、本村においても幾つかの着実な歩みが見られる。

(一) 学校教育の地域化

「学校は児童生徒にとって生涯教育への基礎づくり」という共通理解の下に、学校の教育目標や指導目標の設定に当たって地域課題を積極的に取り入れる努力がなされている。

B校では、教育目標の具現化に村民憲章を生かし、特色ある学校経営に取り組んでいる。また、各校とも地域の特色を生かした教育課程の編成を目指し、地域の自然・社会・人的資源を教育的に活用していくための研究も盛んである。

A校では、地域に伝わるたこづくりや学校林の下刈り作業を、C校ではわら細工や伝統文化の伝承活動に地域の高齢者等を指導者に迎え成果を上げている。

(二) 自己教育力の育成

生涯学習の意欲は、人々の受けた学校教育と深くかかわっているといわれている。従って主体的に学ぶ意志、態度、技能を育成することが学校教育の重要な任務のひとつになる。

各校とも、校内の現職教育において自己教育力の育成に主眼をおいた校内研究が積極的に進められ、その基礎づくりが着実に進んでいることは、今後の本村の生涯教育推進の原動力になるものと思われる。

(三) 社会参加の奨励

地域における社会教育的活動への児童生徒の参加は、学校の理解と協力にかかっている。推進会議などにおいて、望ましい少年像の共通理解を図ったことにより、少年の社会参加は一段と促進された。また、地域に居住している教職員が地域の一員として参加している姿は、地域の人たちに好ましく映り、学校教育に対する理解が深まり、地域と学校の協力関係が一層緊密なものになったことも一つの成果である。

 

六、これからの課題

生涯教育は、いま人々の生涯の各時期における学習の希望や必要に対応し得る教育の場と機会を制度化し、体系化することが強く求められている。

本村の推進会議においても指摘されている通り、関連事業における偏り・重複・競合・欠落は大きな検討課題である。このため、長期展望に立った体系化が望まれるところであるが、当面は、関係機関が事業の企画立案から実施まで、協力連携を目指す推進会議の充実を図ることに重点をおいていきたい。前年度からの継続事業の内容の充実を図ると共に、新たに次の事業の推進を図っていく。

・生涯学習研究集会の開催

・生涯学習の手びきの発行

もとより遠大な理想である生涯教育である。一朝一夕にして成果が上がるものではないが、村長を先頭に一歩一歩着実にごれを進めていきたいと考えているところである。

 

青年会、先生、おかあさんといっしょの鳥屋山登山

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