教育福島0111号(1986年(S61)06月)-008page
特集〔1〕
1) 積極的な生徒指導をめざして
小・中学校
は じ め に
いじめによる自殺者のニュースがたびたび報道されている。数年前に吹き荒れた校内暴力はやや鎮静化の傾向にあるとはいえ、依然として大きな問題であることに変わりはない。また登校拒否や性の問題なども憂慮すべき状況にある。少年非行も本県の場合、昭和六十年に補導された少年は、二万七千七百十九人で前年に比べ三千八百十二人増加し、(全国的には減少の傾向)非行防止も緊急の課題となっている。 (資料1)
本県における少年非行の特徴として、次の点を挙げることができる。
1) 昭和五十八年、五十九年と二年連続して減少した刑法犯少年は、再び増加し、史上最高を記録したこと。
2) 小・中・高校生が刑法犯少年全体の八十二・二パーセントを占めること。特に、中学生が四十二・四パーセントと非行の中心をなしていること(資料2)。
3) 万引、乗物盗など初発型非行がさらに増加し、刑法犯全体の六十五・五パーセントを占めること(資料3)。
4) 触法少年が二百九十九人と大幅に増加し、低年齢化の傾向が一層強まっていること。
5) 暴行、傷害、恐喝等の粗暴犯が増加し、内容も悪質化していること。
6) シンナー等を乱用した毒劇物法違反少年が五百二十三人で、特別法犯少年全体の八十五・七パーセントを占めること(資料4)。
7) 校内暴力はやや減少しているが、対教師暴力は増えていること。
(注)
※特別法犯…軽犯罪法、児童福祉法、覚せい剤取締法、県青少年健全育成条例等に違反した者
このような少年非行への対応は、とかく対症療法になりがちである。もちろん目の前の児童生徒を考えたとき、それも大事である。けれどもそうした現状だからこそ、今大事なのは、健全育成や生徒指導の本質をふまえた積極的な生徒指導の充実を図ることである。
以下、積極的な生徒指導を進めるに当たって重視すべき点について述べる。
一、好ましい雰囲気による生徒指導
生徒指導の重要性がわかり、組織や指導計画が整えられたとしても生徒指導の効果は期待できない。要は、組織や計画に基づき、全教職員が心を一つにして指導に当たる雰囲気が醸成されているかどうかが問題なのである。
指導上の悩みや問題を打ち明けられ
資料1 昭和60年の少年非行
福島県警察調べ(以下資料4まで)▲は減少以下同じ
資料2
刑法犯少年の学識別構成▼
資料3
▼刑法犯少年による初発型非行
資料4
特別法犯少年に占める毒劇物法違反少年▼