教育福島0111号(1986年(S61)06月)-014page

[検索] [目次] [PDF] [前] [次]

この過程で特に配慮したことは、教師が一人一人を大切にして児童生徒理解を深め、深い愛情と指導力で個に応じた実践につながるよう働きかけてきたことである。

 

4 学級指導との関連を図った実践化の指導

学級経営を母体に学級指導を核としながら、教科指導、道徳の時間の指導、日常生活指導との関連、及び家庭との連携を図って実践化につながるよう実践をしてきた。

 

5 児童生徒理解と教育相談

(1) 生徒指導の基盤としての児童生徒理解の充実

児童生徒の持つそれぞれの特徴、現在おかれている状態、抱えている問題等について把握し、一人一人の個性を生かした効果的な指導を展開していくためには、正しい児童生徒理解が基になっていなければならないと考え、次のような内容を取りあげ実践した。

○諸調査、検査の実施

○作文、日記、生活ノート、グループノート等の活用

○チェックリスト等による観察

○資料の整理と個票の工夫

個票の工夫については、直ちに実際の指導に生かされるよう、前述の資料や情報を整理分類した。これは、児童生徒を客観的に理解する手だてとした個人カルテである。その役立て方としては、

○問題行動を示す児童生徒の要因を分析的に把握するための参考資料

○問題行動は示さないが、将来そうなるかもしれないと予測される児童生徒を把握し、事前指導をする参考資料

○問題となる要因を、もつもたないにかかわらず、児童生徒は長所をもっているはずであるから、長所をみつけ、これに積極的に働きかけ、更に個性を伸長させるための参考資料であって、児童生徒理解のための一つの方法ととらえ、全体を理解したかのごとき錯覚に陥らないように留意してきた。

したがって、基礎資料として整理された個人カルテは、児童生徒の実態の一部と解釈し、更に総合的に把握するための方法として教育相談による児童生徒理解に力を入れている。

(2) 教育相談の実施

教師と児童生徒のよりよい人間関係づくりに努め、確かな児童生徒理解のために定期相談、随時相談を実施してきた。

定期相談は、「創意を生かした時間」に位置づけ、一人一人の児童生徒の自主的な来談の契機となるように発達段階を考慮しながらグループ相談等を取りあげ実施してきた。

随時相談としては、日記指導や生活ノートの指導とあわせながら、個別相談の機会をできるだけ多く取り入れ援助指導をしてきた。また、教師と児童が共に行う清掃や作業時にも何げない会話を大切にして援助指導に努めるようにした。

 

(二) 小・中学校間の連携

1 小中学校合同の授業研究会の開催

四小学校、一中学校が年一回ずつもち回りで指定授業を通して授業研究会を重ねてきた。これは学校運営上支障をきたさない可能な範囲で教師が参加し、「わかる授業の組織化」「生徒指導の機能を生かした授業のあり方」を視点に研究の積みあげをしてきた。

 

2 小学校教師と中学校教師の生徒指導懇談会の開催

学年初めは、現中学校一年担任と当時小学校六年担任、生徒指導主事、養護教諭による懇談会。学年末には現小学校六年担任と現中学校三年担任(ほか前述に同じ)による懇談会を年二回実施してきた。

これは主として、特定の児童生徒の学習や生活の不適応面を中心とした懇談であったが、互いに資料、情報の交換と共有を通して早期発見早期対策に大変効果的であった。また、小・中学校の連携の面でも進展がみられた。

 

3 各校児童会・生徒会代表による交歓会の開催

基本的生活習慣の形成を自らの課題として、それぞれの児童会・生徒会ではどのように自主的に取り組み、活動しているのかの発表会を通して、相互に啓発され活動の活性化に効果があった。

 

 

(三) 学校と家庭・地域及び関係機関との連携

1、学校と家庭の連携

(1) 「○○よい子の一日」及び「子育て診断表」配布と家庭におけるチェック

基本的生活習慣形成の具体的資料である児童生徒の一日の生活プログラム「○○よい子の一日」(資料12)と家庭教育資料「子育て診断表」を

資料12 「よい子の1目」生活プログラム

 

 

 

 


[検索] [目次] [PDF] [前] [次]

掲載情報の著作権は情報提供者及び福島県教育委員会に帰属します。