教育福島0111号(1986年(S61)06月)-017page
・講義「青少年の健全育成とは」
講師 河野義章氏
(福島大学助教授)
・質疑応答
三、本事業の成果と今後の課題
(一) 成果
生徒指導推進会議は二年間で六回開催され、福島市の青少年健全育成推進会議の代表十六名と市内四十四地区の青少年健全育成推進会長の計六十名がメンバーとなり、
・組織の充実をはかる。
・青少年の健全育成及び非行防止に対する共通理解をはかる。
・地域活動を活発にするため、学校、家庭、地区内関係機関や団体との連携強化をはかる。
などの方策について、熱心な研究協議が行われ、その後の活動の一助となった。
生徒指導者研修会は年一回、計二回開催され、市内四十四地区の青少年健全育成推進会の代表者百二十名が参加し、地域活動の輪を広げるための指導者のあり方、役割などについて研修し、活動をするものとしての連帯感が醸成された。
(二) 課題
本事業がそのねらいに沿って深まりを見せるにしたがって、もろもろの課題が生まれたが、おもなものをあげると次のとおりである。
1)各地区の実情に合致した具体的な活動内容を探し出すこと
2)家庭、学校、地区内の関係機関団体がそれぞれどのように役割分担をするかということ
3)活動を円滑にするための指導者の具体的な動き方
四、おわりに
昭和五十九年度、第一回の生徒指導推進会議の席上で、ある推進委員から「私たちの町内会では高校生が見えない」と話されたことが、いまでも強く印象に残っている。青少年健全育成の大事を成すには、最小単位での活動のいかんが鍵となるのであるが、その最小単位、すなわち町内会に高校生が見えないということは、親にとっても、学校にとっても、よく考えてみなければならないことではないだろうか。
基本的生活習慣の確立をはかるための生活指導の探求
−時間・服装・礼儀を中心として−
県立坂下高等学校
一、学校および地域の特色
本校は地域の強い要望と期待により昭和二十九年四月、福島県立会津農業高等学校から通常課程(全日制)普通科を分離して設置された高校である。
昭和六十年度現在の学級数は十二、生徒在籍数は男子二百二十名、女子二百七十九名の計四百九十九名で、女子の方がやや多くなっている。生徒の進路は年ごとに就職を目指す者が増加しており、現在は七十パーセント近くに達している。
生徒の出身中学校は、会津坂下を中心とし、隣接の二市四郡に及んでいる。
生徒は概して温和、純朴で、一様に明るい雰囲気をもっているが、勉学に対しては、やや消極的な傾向も見られる。その反面、部活動には積極的で全生徒の七十八パーセントが何んらかの部活動に加入しており、充実した学校生活を送っている。
二、本校の教育指針
1) 活力に富んだ個性ある人間育成
2) 特別活動および部活動の奨励
3) 「ならぬことはならぬ」指導の徹底
三、研究の概要
(1) 研究主題の設定
1) 主題設定の指針
昭和五十九年度から、二か年の県指定研究推進校となり、テーマについては検討の結果、生徒の実態に即して、「全職員が意欲的に取り組めるもの」にしようとの共通理解のもと、運営委員会が中心となって研究の基礎づくりに着手した。
その後、職員会議を経て、最終的に確認したのが、次の三つの条件である。
ア、本校の生徒指導に直接プラスになる研究であること。
イ、全教職員で取り組めるものであること。
ウ、二年間の研究指定が終っても、その成果がその後の指導に生かされ実践が永続できる研究であること。
2) 本校生の実態
日常生活面において、本校生に不足している点は何であるか。先生方が、日常の観察をもとに、具体的に列挙し、生徒のさまざまな行動様式をとり出して、要約・分類したのが次の三点である。
ア、時間の使い方が下手である。
イ、服装・頭髪等に校則スレスレのはみ出す生徒が多い。
ウ、礼儀作法が身についていない。
これらは、いずれも基本的生活習慣にかかわることである。
3) 主題の設定
生徒の実態から取り組むべき研究の主題を、次のように設定した。
基本的生活習慣の確立をはかるための生活指導の探求
−時間・服装・礼儀を中心として
この研究のねらいを整理してみると「時間・服装・礼儀」を中心とした基本的習慣を身につけさせるとともにその