教育福島0111号(1986年(S61)06月)-018page

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習慣形成をとおして、自律性、自主性を探ること」であり、「時間・服装・礼儀」等が、私達の日常生活において、どんな意味を持ち、どれほど大切であるかということを改めて生徒に考えさせ、身につけさせる指導である。

4) 研究組織

 

各小委員会を設け、職員はいずれか一つの小委員会に所属するようにした。

 

研究推進委員会を設置し、その下に時間・服装・礼儀の各小委員会を設け、職員はいずれか一つの小委員会に所属するようにした。

(2) 研究主題への取り組み

1) 主題解決策のための前提

本校の研究を図表にまとめてみると(図1)のようになる。

下の部分の枠内が解決策の前提である。前提(1)「望ましい人間関係、望ましい態度」は教師の生徒に対する望ましい人間関係や態度づくりを行い、前提(2)「ならぬことはならぬ」という指導理念を貫き、前提(3)「見逃すことなく、辛抱強く、くり返し、くり返し指導する」という行動を、教師がたゆまず実践してゆくことを表わしている。この三つの基盤の上に立って、時間・服装・礼儀の各小委員会が相互に関連し合い、有機的に働きかけ、生徒の不足点を補いながら、自主性と自律性を育成してゆくことを意味している。

前提(1)はいかにすれば可能であるか。教師と生徒の信頼関係をつくり上げることは、生徒指導の第一歩であり、この研究の主題を解決する第一歩でもある。教師の変容なくして、生徒の変容はあり得ない。

次に前提(2)「ならぬことはならぬ」の指導である。これは学校の教育指針になっているもので、最も力を入れている教育の理念である。これは生徒指導の基盤をなすもので、校長を中心に、全職員が一致協力して実践している。このことばは会津藩校の教えであり、会津武士道の精神を簡潔に表現したもので、実践すべき行動様式、物事の判断の基準を示すものである。

「やってならないこと」と「やるべきこと」を判断させ、そしてそれはなぜそうなのか、その理由を必ず生徒に考えさせ、十分に納得させた上で、「やってならないこと」は初めから(また二度と)「やらせない」ようにし、「やるべきこと」は積極的に「やらせる」ようにする指導である。つまり、「させる段階」の指導をしっかり行うことによって、「させられる生徒」から自ら「する生徒」へ高めていく指導なのである。

教師による他律的な働きかけのくり返しが、やがては生徒の中で内面化され、生徒は自主的に自分自身の行動を抑制し規制してゆくようになる。

最後の前提(3)は教師の実践指導である。行動を伴わない生徒指導はあり得ないのは当然であり、教師は幸抱強くなければならないことを示している。

以上三つの前提をもとにした達成目標及び下位目標をきめ、目標達成のための解決策を一覧表に示したものが、(表1)である。

2) 研究の成果

研究実践の前と後での生徒の変容の度合いを測定するために、アンケートを始めとする次の六種類の諸調査を実施した。

ア、教師の大まかな観察記録

イ、遅刻調べ ウ、着席調べ

エ、服装・頭髪検査の記録

オ、挨拶調べ カ、アンケート

他に参考資料として、イメージテスト(SD法)を実施している。その結果は、全ての分野で十分だとは言えないが、かなりの好ましい結果があらわれ、満足できるところが多かった。(表1)

 

四、今後の課題

 

本研究の究極のねらいは「させる指導」をとおして、「させられる生徒」から、「する生徒」を育てることにあったが、指定研究が終ってもまだまだここしばらくは「させる指導」をしっかりやらなければならない現状である。

遅刻・服装・頭髪・挨拶等のこれら基本的生活習慣は、いわゆる"しつけ"であり、本来幼少の段階から、家庭での訓練を中心に行われるべきものであるが、その時期に形成不十分のまま持ちこしたものを、高校生の年齢になり、しかも学校でこれを矯正補充しようとする指導は生易しいものではなく困難な仕事ではある。 "見逃すことなく、幸抱強く、くり返しくり返し指導"してゆかなければならない。

高校時代において、「させられる生徒」で終ったとしても、卒業してから

 

図1 本校の研究

○受容……生徒を1個の人格として受け容れ、尊重すること

○受容……生徒を1個の人格として受け容れ、尊重すること

○共感的理解……生徒のなした行為そのものについて理解するのではなくて、その行為を引き起こすにいたった生徒の気持ち、心理状態等を生徒が思った、感じたそのままに理解すること。

○支援……生徒の長所や特徴を見つけ、励ましてやること。

 

 

 


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