教育福島0111号(1986年(S61)06月)-032page

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特集[2]

へき地教育の推進

 

いう条件や形態から生じる課題にどのように対応し、実践するかであろう。

 

へき地教育を推進するに当たって考えなければならない二とは、へき地という地域性からくる教育上の問題、あるいは、小規模学校、複式編制という条件や形態から生じる課題にどのように対応し、実践するかであろう。

この計画・実践においては、これまで困難点や劣性のみを直視しがちでありましたが、最近では、逆に、へき地の学校、小規模学校、複式学校がもつ特性を見直し、積極的に生かす二とにより教育の効果をあげるようになってきています。これは、へき地、小規模、複式学校のみができる教育を実践しようというへき地教育への積極的な取り組みのあらわれであります。

 

一、へき地の特性を生かす学校経営

 

(一) 少人数を生かした学校経営

「発言や直接体験の機会が多い」「直接指導の密度が濃い」「大担な指導法がとれる」などの長所を生かし、基礎的・基本的事項を身につけ、一人一人の能力やよさを生かし育てる指導が期待できます。

また一方、少人数であるが故の教育的な課題の解決のため、合同授業等による学習の集団化を図り、学習の充実感を味わわせることも重視する必要があります。

 

(二) 地域ぐるみの学校経営

へき地の学校では小規模であるため特に職員間の和が大切です。全職員が一丸となった学校経営が児童生徒に響き、ひいては地域を動かす原動力となります。とりわけ、へき地では人々の結びつきや、学校と地域の結びつきが強いことを学校教育に生かすことが必要です。

学校と学級の経営方針や教師集団の教育に対する考え方を学区の人々に理解してもらうと同時に、地域や父母の学校に対する意見や要望等をよく聞き、それを学校の経営に具現することが大切です。

 

(三) 体験的活動を重視した学校経営

地域を見つめ、理解し、愛し、誇りを持つ児童生徒を育成することは大切なことです。地域の伝統、生活、自然環境、素材等を生かした学校行事、創意の時間、教科指導等、地域に根ざした教育活動や体験的な教育実践が重視されます。

また一方、新しい生活環境に身を置いたり、新しい事象に触れて行う活動体験は将来を生き抜く力や態度を育成するうえで重要であり、積極的に計画運営を工夫する必要があります。

 

二、学校の特性を生かす教育課程の編成

 

へき地・小規模学校の課題として、「経験領域の質・量両面の拡大」「自律性・社会性・積極性」「創造力・思考力・表現力」等の育成があげられる。全教育活動を通して自ら考え正しく判断し、積極的、創造的に活動できる児童生徒の育成を目指し、筋道を明らかにして教育課程が編成されなければなりません。

○ 教育課題を明確にするとともに、学校教育目標の具現のための全教育活動における構想を明確にする。

○ 各領域の計画立案に当たっては、領域相互の関連を図るとともに、学級の編成や児童生徒の数、今後の推移、能力差等を十分に考慮する。

○ 指導内容については、基礎的・基本的事項を明らかにして指導の重点をおさえるとともに、特に地域素材の教材化に努める。

○ 週時数、一日の時程等、季節等の実情に応ずるよう年間を見通して計画する。

○ 学校生活に変化と充実を与える創意の時間の活動や行事を地域・学校の特性を生かして計画する。

次に、昭和五十九年、六十年の二年間、文部省よりへき地教育の充実と振興のため指定を受けて研究を進めてきた上郷小学校の実践例を示すことにします。

内容は地域素材の教材化と指導のあり方を理科教育を窓口として研究したものです。

 

 

 


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