教育福島0111号(1986年(S61)06月)-042page

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なお、昭和六十年度入学生徒に対しても、教科別に実施して、教科ごどに処理し、研究実践の中で利用した。

 

(三) 調査による本校生の実態

 

意識実態調査並びに基礎学力調査の結果からみると、本校生は三つのタイプにわけられる。第一に、何事にも努力し向上しようとする努力型が一割、第二に学校生活を楽しもうとする安住型が八割で、第三は学校無視型の一割である。

一割程度の努力型の者が、勉強にも行事にも、積極的に参加する姿勢をみせているが、やがて同化されてしまうか、孤立してしまうかであり、この一割の生徒に、他を引きあげていく役割を期待することはむずかしいのだが、学校を左右するのはこの生徒たちであり、教師側がいかに指導し、リーダーとして成長させるかが課題である。

さて、学校無視型の生徒であるが、指導上の問題になり、HRTや指導部の手を煩わしている。学習面においても、行事面においても消極的である。

このような状況なので、八割の安住型に合わせて学習内容もレベルダウンの傾向にある。また、授業に集中できない生徒がいる中で、この研究を一つの契機として、全生徒が意欲的に取り組める授業が肝要となっている。特に、生徒に合わせたやさしい授業の展開ではなく、「高校レベルの内容をいかに解り易く教えるか」が課題である。

 

(四) 公開研究授業

 

本校における校内研究授業は、現職教育の一環として、教務部が担当して、年二回一学期(六月)・二学期(十一月)定期的に実施してきた。主な目的は授業研究であり、新採用者の研修の場にもなっている。

ところで、昭和五十五年新教育課程の編成作業に入った頃から、中学卒業生の減少にともない、定員割れが生ずるようになった。そして生徒の意識、学習に対する取り組み、高校生活に対する考え方の変化など、従来の高校生になかった現象があらわれてきた。二のため教師側の意識も変えざるを得ない状況になり、生徒の変化に対応した指導方法を研究しなければならなくなった。

一方、授業研究については、生徒の変化に対応するため、各教科において常に話し合いを繰り返しており、問題の重要性が十分に認識され、効果が上がってきていた。しかし、高校だけでは解決できない問題が残り、生徒の中学校時代の学習方法や生活態度を知ることが必要になってきた。一方、中学校においても高校に送り出した生徒に強い関心があり、その後の成長を心配している。このような点から中・高の連携が必要とされたのである。

本校においては、昭和三十年代に「小野地方中・高連絡協議会」という組織がつくられ、中・高の連携を深めてきた。この組織は、本校の定員確保に周辺の中学校が協力するのが目的であったが、徐々に生徒指導についても取り上げられ、連携が深まってきた。その会議の中で、最も基本となる学習指導について関心がもたれはじめ、話し合いがなされ、中・高相互の「研究授業」がクローズアップされてきた。そして、公開授業についても話し合われ、中・高ともに実施していく方向で検討することになった。昭和五十八年、従来から実施していた校内研究授業を拡大し、中学校に呼びかけ、公開授業を開始した。昭和五十九年前期・後期とも小野中学校を中心に参加があり、六十年の前期は研究推進校としての研究実践の意味もあり、多数の中学校の参加があった。また、中学校側からの呼びかけもあり、小平中学校・小野中学校などに本校から参加した。

意識調査で明らかであるが、本校生のほとんどが中学二年生以前で、各教科ともつまずいている。このような現状をみると教科によっては、中学校の教科内容を十分に検討して教材を構造化していく必要があるものと考えられる。

 

(五) 各教科の実践研究のまとめ

 

各教科が研究主題に基づいて独自の研究テーマを掲げ、目標の実現をめざして様々な方法を試みた。詳しくは、『二、研究主題並びに研究計画』の表に述べられている通りである。二年間の研究がどのような成果を生み、どのような課題を残したかを、次に記す。

 

1) 国語科

書く指導の方法を学んだし、また考え、工夫してきた。そして、書かせる設定状況に留意していけば、生徒たちも相応に書くものだ、書けるものだということが確認できた。教材との関連性・方法のバラエティーを十分に考慮して行ってきたが、構造化・体系化にまで至らなかったこと、事後処理の面での工夫など、今後の検討材料としていきたい。

 

2) 社会科

教材の構造化によって生徒の実態に応じて、展開内容を調整することができるため、生徒に理解しやすい授業ができたことや、テーマ学習などを取り入れ、精選も行ったので、一応の成果が上がったと考えられる。一方、調査やアンケートにより、生徒の実態が把握でき教材の研究に役立った。今後は、作業・現地見学・探究学習をどう取りり入れていくかが課題である。

 

3) 数学科

教材をできるだけ基本的なものにしぼり、教科書の教材配列を再編成して、具体例を多く取り入れた授業を展開し

 

 

 


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