教育福島0111号(1986年(S61)06月)-043page

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た。また、単元テストについては授業のまとめと反省という点で有効であった。放課後の個別指導は効果的であったが、学習意欲のない者に対する指導は今後の課題である。座標・関数のグラフなどの単元では、OHPの活用は有効であった。

 

4) 理科

生徒の実態に即した教材の精選という研究テーマのもと、各科目について教材を精選し、授業を実践してきたが、アンケート・定着度テストの結果ではまだまだ理科はむずかしい教材であるという印象が強い。今後とも興味関心を高める授業展開が必要である。

 

5) 保健体育科

具体的な目標設定が意欲の喚起にいかに大切であるかが確認できた。設定目標が授業に活気を与えてくれたことは大きな成果だった。また、自己診断カードを作成し、毎時実践結果をカードに記入させたことにより、生徒に設定目標に対する責任を強く感じさせることができた。設定目標達成による意欲をいかに学習成果に結びつけて展開させていくか、更に研究をしていきたい。

 

6) 芸術科

音・美・書三科目合同による導入の授業は、生徒たちがそれぞれ他科目の特徴や関連性を感じとり、次時への各科目での授業の展開に結びつく手がかりを生みだした。また、他科目との関連や芸術の背景を学ばせることにより視野が広がった。

 

7) 英語科

アウトプット(発表)を通して目標感を抱かせ、それを遂行する過程でインプットしていこうという前提のもと、「校内レシテーションコンテスト」を年二回実施した。クラス予選を通して全員に暗記してもらうなど、その他、幾多の方法を駆使して、動機付けと基礎学力の定着を目ざした。今後とも、コンテス十と英検への取り組みを二本柱として努力したい。

 

8) 農業科

プロジェクト(実験・実習)学習を主体に自学自習を重視し、基礎的内容の精選を図り、各学年の指導目標を明確にすることができた。また、学習ノートの工夫により、学習目標がわかり、要点のまとめが楽になり、意欲を喚起することができた。今後は更に、座学と実験実習を関連づけた指導のありかたについて研究していきたい。

 

9) 商業科

学習目標の設定と確認テストにより、口頭でしか確認できなかった理解の程度が、具体的に把握できたし、これまで指名しても答えられなかった生徒が、どうにか答えられるようになった。また、グループ学習により、ノートをとる生徒が増え、その結果、赤点所有者も減少した。ただ、授業の主眼を基礎的レベルに置いたため、学力の高い生徒への配慮が十分ではなかった。

 

10) 家庭科

教材教具を工夫し、指導内容を実験実習化することにより、理論分野の具体化に努めた。教具として開発したパネルを利用した授業で、生徒は意欲的に取り組み、全員がパネルに集中した。本校生徒の実態を踏まえると、パネルは、「興味→学習→応用」という学習の流れに生徒を導く大きな原動力となった感がある。

 

四 研究の成果と今後の課題

 

教師側が生徒の実態を把握し、工夫をして授業に臨んでいる姿勢が生徒に反映したためか、以前にくらべ学習への取り組みに積極生がみられてきた。以下、具体的な成果と、これからの課題について述べ、まとめとする。

 

(一) 研究の成果

 

1) 諸調査を通して、学習に対する取り組みの様子やつまずきの時期が把握できた。

2) 全職員が意識を変えて指導にあたらなければならないという共通理解を持つことができた。

3) 授業内容が変わり、生徒が積極性を示し始めた。

4) 全職員一丸となって取り組み、校内研修という意味で勉強になった。

5) 生徒の授業に取り組む姿勢・態度がよくなり、学習成績が向上した。

6) 公開研究授業は成果があがり、中・高連携の大切さを痛感した。

 

(二) 今後の課題

 

1) 中学校で学習すべきものを、高校で基礎的事項として指導したが、限界を感じた。学習には学ぶべき時期があるのではないかと考えさせられた。

2) 学習指導と生活指導をいかにバランスよくすすめるか。

3) 地域から魅力を持たれる学校にするにはどうすればよいか。

授業内容について、生徒への事後アンケートでは「嫌い」「大嫌い」が各教科とも減少傾向にある。この二とば、各教科の研究の成果があらわれ、「わかる授業」、生徒が意欲的に取り組める授業が増えてきているためであるとみることができよう。

二年間の研究を「研究のための研究」に終わらせないよう、小野高等学校生の健全育成のため、これからも更に努力していきたい。

 

 

 


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