教育福島0112号(1986年(S61)07月)-014page

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郷土離れの傾向を示しているといえます。

このことは、子どもの生活空間における行動範囲が、成長するとともに地理的、社会的にも視野が拡大し、周囲を見る眼が育ってきていることを意味してます。

また、身近な生活の場で、親、教師、地域の人々から直接的接触によって、教え、聞かされ、知らされることの他に、マスメディアの発達にともない、県内各地はもとより、遠隔地から飛びこむ情報による間接的接触によって、他と比較してみる客観的な見方の発達によるものともいえます。

しかし、郷土離れの意識が高くなるにつれ、郷土への愛着意識が低くなったと結びつけることはできません。

特に、定住志向意識の低い高校生の郷土への愛着度は、総務庁が調査した「青少年の連帯などに関する意識調査」(六十年)の「居住意識」によると、

住んでいたい 四十・四%

他へ移りたい 二十五・二%

どちらともいえない 三十四・三%であり、「地域への愛着度」では、

好きである 八十三・九%

嫌いである 十・五%

なんとも思わない 五・一%となっています。

このことから、定住志向意識が低くとも、郷土への愛着度は、高い傾向にあるといえます。

次に、表612により、住んでいたい理由をみると、第一位は、小、中、高生とも「生まれ育った土地だから」をあげています。「自然環境にめぐまれているから」をあわせると、小、中、高生それぞれ七十五%強あり、四人に三人が、郷土の自然や生誕地への愛着を強く示しています。

また、「親が住んでいるから」を理由としている小・中・高生がともに十%代と低いのは、親離れの心理的離乳現象がスムーズにいっていると、みなしてよいのではないでしょうか。その他での、「働く場所がある」「文化施設が整っている」「生活環境がよい」からを理由としているのが低いのは、これらを否定的要因として、とらえているといえます。

表6−3より、住みたくない理由をみると、小・中・高生とも第一位は、「働く場所が少ないから」をあげています。このことは、都市部の調査資料が少ないことから全県的な傾向としてとらえることはできません。

次に、「生活が不便」「多様な施設が整っていない」からの理由が多く、交通不便、教育施設や娯楽施設など、経済的、生活環境の不満足から郷土を離れたい傾向を示しています。その他では、「囲りの人の口がうるさい」「人々のまとまりがない」「古い因習が残っている」からを理由とするのが少なくなっています。

特に、中高生たちは、親や大人から注意されると反抗し、干渉を極度に嫌

 

〔郷土居住意識〕

表6−1 あなたは将来とも自分のまちやむらに住んでいたいですか

表6−1 あなたは将来とも自分のまちやむらに住んでいたいですか

 

表6−2 住んでいたい理由

表6−2 住んでいたい理由

 

表6−3 住みたくない理由

表6−3 住みたくない理由

 

 

 


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