教育福島0112号(1986年(S61)07月)-015page

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う年齢にあるにもかかわらず、理由としてあげていません。このことは、地域の人々が青少年に直接的にあまりかかわっていないことを意味し、青少年を地域で育てるという連帯の感情意識が薄れているといえます。

2) 青少年にとっての地域社会青少年は、郷土に愛着を持ちながらも離れたい志向をもっています。

しかし、J町の調査「地域の日常生活におけるふれあいについて」の問いでは、中高生の八十三%が、ふれあいを「もちたい」「少しはもちたい」と回答しています。

このことは、郷土を離れたい志向をもちながらも地域との「ふれあい」を望んでいることであります。

このことからも、ふるさと=地域社会こそが、子どもの心を育てる最も重要な教育の場であることの認識を深めなければなりません。

 

子どもにとって地域社会とは

 

ア、人々とのふれあいの場

郷土の人々は、地域社会の中で自己の責任や役割を果たすなど人間形成をすすめてきました。したがって、地域社会は、子どもたちが早い時期から、地域の人々とふれあう地域活動に参加することによって、豊かな人間関係を学ぶことのできる場であるわけです。

ア) 異年齢の子どもの遊び集団が自発的に形成され、さまざまな遊びを通し、他者の役割を理解したり、集団の一員として、自分の役割を学習することができる子ども同士の交流の場です。

イ) 大人との交流を通して、生活感情、社会認識、モラルなどを自然に身につけたり、大人の生産活動や労働の姿を見て学ぶことのできる場です。

ウ) 清掃美化など各種の奉仕活動を体験することによって、地域の形成者の一員であることを自覚し、仲間や地域の人々との連帯を深め、地域への奉仕の態度や勤労を尊ぶ態度、郷土を愛する心を生活体験を通して学べる場です。

イ、自然とのふれあいの場

郷土の人々は、自然と接する中で情操を高め、また、自然を生かした独自の文化をつくりあげてきました。

青少年は、郷土の自然と接することによって、科学的な基礎などを身につけられる場となります。

ア) 自然の厳しさや美しさを知り、自然に親しむ心や敬けんの心を培い、自然の中で心身を鍛練し、自ら実践、創造する態度が学べる場です。

イ) 動物や植物に対する愛情を培い、生命や自然への畏敬の念が学べる場です。

ウ) 自然が人間にもたらす影響の大きさや、人間が自然に及ぼす力の功罪を感じたり、自然と調和した人間の生き方が学べる場です。

エ) 美しいものや崇高なものに対する深い感動を得るとともに、牧歌的な意味での自然理解にとどまることなく、自然を科学的に理解し、探求する態度が学べる場です。

ウ、郷土文化とのふれあいの場

郷土の人々は、郷土の自然に働きかけ、郷土の歴史と伝統文化を守り育ててきました。

青少年が、郷土のさまざまな物質的、精神的、制度的文化に接することによって、文化への関心を高め、理解を深め、郷土の文化を享受、継承、伝承し新しい文化を創造できる場となります。

ア) 郷土の生い立ちを身近かに住んでいる人生の先輩から学んだり、また、文化財を訪ね、掘りおこして、新しい目で郷土を見つめ直すことのできる場です。

イ) 日常生活に関する昔の生活文化を知り、郷土の文化、日本の文化について認識を高めることのできる場です。

ウ) 郷土の年中行事を見学、参加することによって、民俗芸能や伝承遊びの継承への関心を高めるとともに、郷土の伝統文化のよき理解者となり、伝承者になることのできる場です。

以上のような場がありますが、わたくしたちもふるさとに生き、ふるさとに学んできました。ふるさとの教育資源、自然や文化、生産活動地域の人々は、「師」であります。この「師」となる環境資源を青少年にふれさせる教育作用を十分働かせる必要があります。

 

〔余暇時間のすごし方〕

表7−1学校が休みの日は何をしてすごしますか

表7−1学校が休みの日は何をしてすごしますか

 

表7−2 だれとすごすか…すごす相手

表7−2 だれとすごすか…すごす相手

 

 

 


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