教育福島0112号(1986年(S61)07月)-016page
(二) 休日の余暇時間の過ごし方
1) 友だち離れの傾向
表7−1〜7−4から、次のような青少年の姿が浮んできます。
小学生のある者は、公園や広場で、家族や近所の友だちとスポーツを楽しんだり、遊んだりしています。しかし、ほとんどは、家の中で、同級生とテレビを相手にしたり、マンガを読んだりして、気分を粉らわしながらなんとなく過ごしています。
また、中高生のほとんどは、外で過ごすことを嫌い、一人で、時には級友と、自宅に帰るとすぐ習慣化されたテレビ、ラジオ、ステレオにスイッチを入れ、なんとなく目と耳を傾けて過ごしています。
このような、友だちと接触することの少ない、余暇時間の過ごし方の傾向が続くと、ますます、人間関係が乏しくなり、友人とうまく遊べない、友だちを好き嫌いで判断し、嫌いな人との接し方を知らないなど、対人訓練のできていない、人とスムーズにつき合うことの苦手な「対人困難症」の青少年が増えてしまいます。
その結果、友だちとうまく関係が保てないことがきっかけで、問題が発生してきます。
そのことが、表8のすくすくダイヤルの相談傾向にもあらわれてきています。
今の青少年は、甘えが強くて、依存的で、自我の主体生に欠け、自立して他人と接する訓練ができていない「幼児化」の傾向にあるといわれています。
このようなことを改め、人間関係を豊かにするには、生身の相手との遊びや社会参加を通して、育てることが大切です。
2) 仲間との遊び
ここでは、人間関係形成の礎となる遊びについてふれることにします。
現在の子どもの遊びは、群れ型から・孤立型へ、広場や空地から施設や家の中へ、伝承的な手づくり遊びから既成の規格化された遊びへと変化し、季節性がなくなり、通年性の遊びとなってきています。
群れ型遊びの特色は、
ア、体を動かすので体力がつく。
イ、友だちと遊ぶので社会性が育つ。
ウ、木に登ったり、川に入ったりするので、手や足などの器用さが増す。
エ、かくれ方や逃げ方を工夫するので創造性が育つ。
オ、一生懸命に追いかけたり、逃げたりするのでやる気が増す。
カ、気分がすっきりするので精神的に安定する。であるが、このようなことがなくなったため、野性味を失い、ひ弱になり、ストレスがたまってきます。特に、身体と言葉のストレスがたまり、その解消に、同級生、同学年の友を手と足と口で「いじめ」ているともいわれてい
表7−3 どんな友だちとすごすか
表7−4 どんな場所ですごすか
表8 すくすくダイヤル相談傾向
各時期における相談内容の傾向 (60.4〜60.12)
相談内容をおおまかに分類して、学校種別(時期別)に多い順に1位から5位まで示すと表8のようになります。
中学生期に「いじめ」が4位に入り、高校生期では登校拒否が1位となっており深刻な相談が多くなってきています。