教育福島0112号(1986年(S61)07月)-018page
迎え入れ、彼らの要求に応える団体そのものが、十分発達していないということもあります6しかし、小学生から中学生へと大きな断層が認められるということは、
ア) 部活動や学習塾に追われて、実質的に地域で活動する時間的余裕がない。
イ) 学校が、地域活動への参加や団体活動といった社会教育活動に対して、あまり高い関心を示さない。
ウ) 高校受験が、親子ともに本音のところで最大の関心ごとになっている、
以上のような理由により、団体への加入を物理的に困難にしているといえます。
2) 中学生の加入意識と活動
表912より、団体に加入しない理由をみると、中学生は、第一位に、「入りたい団体・グループがない」(内容的要因)をあげ、つづいて、「どんな団体・グループがあるかわからない」(情報的要因)「入りたい気持ちにならない」(関心的要因)「入って活動する時間がない」(時間的要因)をあげている。
また、B町の中学生の地域行事や団体活動の調査によると
ア、不参加の理由として、
(ア) なんとなく気がすすまなかった。 四十三%
(イ) おもしろくない 二十三%
(ウ) 知らなかった 十八%
(エ) 勉強があったから 九%
(オ) その他 七%
以上の理由の一・二位をあわせると、興味、関心を引きつけることのできない内容的要因が中学生の地域参加を広げることのできない理由となっているといえます。
更に、行事があることを知っていても、
イ、参加する気持ちがおこらなかった理由として、
ア) 興味・関心がもてない
イ) 面白くなさそう
ウ) 自分にとって価値があると思わない
エ) 友達が参加しないから
オ) 目標や目的がはっきりしていないから
カ) 他にもっと熱中することがあるから
ウ、参加する気があったのだが、参加しなかった理由として
(ア) 時間があわない、時間がとれない
(イ) 親、先生、先輩が認めない
(ウ) 参加しにくい空気がある
エ、ジュニアリーダーに参加したが
(ア) 講習で習ったことを自分の子ども会で生かす場がない
(イ) 大人が企画して、なんでもやってしまうので、大人に便利に使われているみたい
(ウ) いつも小学生の面倒ばかりみさせられている。
(エ) 自分たちが計画して、いろいろやってみたいがやらせてくれない
オ、団体に所属していたがぬけた理由として
(ア) 期待したものが得られなかった
(イ) 充実感がない
(ウ) 自分の居場所や出番がない
(エ) いい友人や先輩ができなかった
(オ) 自分自身の心境の変化他にもっと自分にあった活動や興味のあるものがみつかった
以上のような理由をあげています。
このことから、中学生の社会参加を促進するには、団体や地域活動の内容や運営の方法を十分検討する必要があります。
特に、活動内容を豊かにすることです。その活動内容は、プログラムによって決まります。
そのプログラムは、思い切り自己表現のできるようにすることが大切です。
中学生は、自立したがっています。そのため自らの目的に向って、考え、判断し、行動できるようなプログラムにすることが大切です。
プログラムを作るうえでの原則として、次のことを考える必要があります。
ア、目標の原則
プログラムは、ただ実施すればよいというものではなく、プログラムには、なぜやるのか、なんのためにという目的が明確にされねばなりません。また、参加者の興味や希望が重視されることも必要ですが、団体や行事の目的や目標と一致させることが望まれます。
イ、参加の原則
人は、だれでも与えられたものより創ることに喜びを感じます。プログラムを作る過程に参加することを原則とすることです。
ウ、対象理解の原則
プログラムは、その参加対象者を十分理解しないまま行うと失敗することがあります。中学生の欲求や心理を十分把握したうえで作ることです。
エ、タイミングの原則
プログラムの作成にあたっては、時期と時間を十分検討する必要があります。(特に、部活動のシーズン等)
3) 高校生の加入意識と活動
高校生が、団体に加入しない理由の第一位に、関心的要因をあげ、続いて、時間的、情報的、内容的要因をあげています。
このことは、総務庁「青少年の連帯感などに関する調査」でも、関心的、時間的要因が増加の傾向にあることから、全国的な傾向といえます。
C町の団体加入の動機をみると、
ア、よい仲間を得るため 六十・七%
イ、特技を身につけ生