教育福島0112号(1986年(S61)07月)-022page

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学校教育のためだけにあるのでなく、地域社会の教育、文化のセンターとして、広く開かれることが求められています。

その背景としては、三つの要因があげられています。

1) 教育課程の改訂にともない、「ゆとり」の充実した教育活動、特色ある学校づくり、勤労体験学習の重視など、教育内容のうえから地域社会どの連携の必要性が強まってきたことです、

2) 最近の深刻な「いじめ」問題などへの対応から、児童、生徒の指導は、学校教育の努力だけでは十分でなく、学校と家庭、地域社会との連携、協力が不可欠なことの認識が広まってきたことです。

3) 生涯学習への需要の増大にともない、学校のもつ教育資源としての施設、人材など、地域社会への開放の期待が強まってきたことです。

そして、学校が地域社会との連携を深めるための「社会化」の方向としては、

・ 学校教育内容の社会化

・ 教師の社会化(社会参加など)

・ 施設の社会化(学校の開放)

などがあげられます。

学校教育内容の社会化の例としては、特別教育活動や学校行事における地域社会との交流の機会をもつことです。

教師の社会化の例としては、教師のもつ専門的知識や技術が団体活動や地域活動の場面に生かされることによって、活動の内容をより充実したものとすることができます。

施設の社会化の例としては、校庭、体育館、プールなどの運動機能施設の開放の他に、図書館や教材、器具などを、地域住民の知識や技術修得学習のため、広く開放することが期待されています。

以上のような「社会化」を推進することが、学校教育への理解を深め、学校への連携、協力の関係を強めることになり、このことが、青少年の社会参加の促進につながるのです。

 

(三) 地域での指導者による参加促進

 

青少年の社会参加を援助する指導は、子どもを育てる立場にたち、子ども自身が、経験を自分のものとして生かすよう助ける二とが望まれます。

1) やる気を育てる

今、やろうとしていたのに、一言「やりなさい」と言われたために、「やる気」を失うことがしばしばあります。

このように「やる気」とは、自分でやりとげようとする気持ちで、その自主的な気持ちが、少しでも踏みにじられると、なかなか育ってきません。特に、配慮したいことは、

ア、子どもにとって興味あることは、どんなことか知ること。

イ、どうしたらうまくできるかを、子ども自身に考えさせること。

ウ、なにが目標なのか、なにが自分のしたいことなのかを、子どもなりに「言葉」で表現させること。

エ、経験したことがどうだったかを考えさせること。です。

2) 自発性、自主性を育てる

活動の主体者は子どもたちであります。子どもの発想が貧弱であっても、自分たちの考えを基礎において、取りくませることが大切です。そのことによって、自ら実践したことに対する反省も生まれ、創意工夫していく知恵も生まれ、充足感に満ち、次への意欲が湧くように育てることです。

3) 感性を豊かに育てる

共に汗を流す勤労の体験や仕事を達成したときの喜び、大自然とのふれあいで得られる感動、新しいことへの発見など、それらを認め、子どもたちの心に刻まれる体験を大切に育てることです。

4) 地域社会の甘貝としての自覚を育てる

人は、集団を離れて生活できないことを、他の人々との出あいや交流を通して、互いに助けあい、協力しあって生活していることの理解と認識を深められるように育てることです。

以上のように、指導者は、どのような子どもに育てるか、また、一人一人の子どもの個性を生かして育成していくために、どうあらねばならないかなど、教育観や価値観、信念をもつことが大切です。

また安全の確保についても、十分教育的な配慮をする必要があります。

 

おわりに

 

社会参加の機会は、自己の見つめ直しの機会でもあるのです。活動の後には、ふりかえりの場を必ずもつことが望まれます。ふりかえりを通して得られた「新しい発見」を共有することによって、十代の心の中に、社会参加の体験が身につくのです。

「新しい発見」のなかには、年齢の異なる人から理解を示された喜びや、拒絶された悲しみや失敗など、こうした体験を通して、他者と交わる人間関係の能力や、失敗を克服するための、問題解決能力が身につきます。

地域の主体者としての社会参加は、地域の活性化をもたらします。そのことが、青少年教育の基盤として、大変重要なことです。

青少年の社会参加は、人間形成のうえで、おおいに効果があります。家庭で、学校で、地域社会で促進の輪を広げていきたいものです。

 

 

 

 

 


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