教育福島0112号(1986年(S61)07月)-026page
車に乗せると両側に雪の積もっている冬の夜道を急ぎました。寒さの厳しい二月の声を聞こうとしているときでありましたが、胸には熱いものがこみあげてきました。
キミばあちゃんからは、これまでにもいろいろと教えられること、励まされることが多くありましたが、あの雪うさぎほど、私に多くのことを語りかけてくれたものはありませんでした。
女性が、職場にあって働けるという背後には、たくさんの人々の支えが必要です。夫の理解ある協力はもちろんのこと、核家族の多い現代、子どもをどんな所に預けるか、また誰に見てもらうかは、切実な問題です。
幸いにも、私には雪うさぎを冷蔵庫の中に入れて、解けないように温かい心づかいをしてくれるキミばあちゃんという最良の先輩に恵まれています。良い仕事がしたいと思います。
「愛ちゃんは、私たちの喜びなんです」と口ぐせのように言うキミばあちゃん。
あの雪うさぎは、四か月たった今でも冷蔵庫の中にあるといいます。
日々子どもとのふれ会いの中で、感謝の心、思いやる心を育くんでいきたいと思う昨今です。 (二本松市立二本松北小学校教諭)
十年目の夢
矢内今朝見
母校に赴任して早くも十年目を迎えました。英語教師として、バレーボール部の顧問として、「都市部の生徒たちに負けない学力をつけさせたい」、あるいは「都市部の学校に負けない強い運動部をつくりたい」と考えながら努力してきました。これを実現することが私にとっては目標でもあり、夢でもあります。そして十年目を迎えた今年、英語教師として新たな夢を持つようになりました。それは、英語教育を通して「広く世界に目を向けてたくましく生きるコスモポリタンを育てたい」という夢です。本校の卒業生がすべて、片言の英語であってもそれを十分に用いて世界中の人々と交流できるようになってくれたらなんと素晴らしいことでしょう。
昨年度、国立教育会館筑波分館での一か月間の英語研修という機会を与えていただき、文部省主任視学官、佐々木輝雄先生をはじめとする著名な講師の先生がたの教えに深く感銘するとともに、これまでの授業を反省する機会とすることができました。そして今、生きた言葉として、心と心を結ぶコミュニケーションの手段として英語を教えることが非常に大切だと感じています。ここから私の新たな夢が生まれました。
外国人と接する機会がほとんど無い本校の子どもたちですが、私の新たな夢を実現させるためには、片言の英語であっても、あらゆる機会をとらえて実際に外国人とコミュニケーションさせる必要があります。先日、現場学習で日光に行く機会がありましたが、まさに絶好の機会となりました。
日光には外国からの観光客も多く、これまでも子どもたちが彼らに話しかけるのは珍しくありませんでしたが、今年は現場学習が重要な英語学習の実践の場であることを強く意識させ、出発前に次の課題をだしました。それは、外国人と一緒に写真を撮り、住所を聞いて写真を送るということでした。全員が課題を達成したとは言えませんが、カナダ、フランス、オーストラリア、イギリスなど多くの国の人たちと英語で話をする子どもたちの姿を見て大変うれしく思いました。また、ほとんどの外人観光客がそうした子どもたちを迷惑がらずに話し相手になってくれたことも忘れることができません。こういう機会に英語を練習させるのはとても良い考えだと励ましてくれた英国人もいました。たとえ片言であっても現在学習している英語が通じることを体験できたことは、子どもたちにとって大きな自信となったようです。機会を与えてやりさえずればどこまでも伸びる子どもたちの可能性とエネルギッシュな行動力を実感し、十年目の私の夢も実現が可能なように思えてきました。
これからもあらゆる機会を通して、子どもたちの英語力を高めるため最善の努力をしていきたいと思います。 (小野町立小野中学校教諭)
▲外国人をかこむ子どもたち