教育福島0112号(1986年(S61)07月)-031page

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特集〔2〕

 

国際理解教育の展開

−小・中・高研究指定校の実践−

 

はじめに

 

わが国が国際社会の中で「欧米に追いつき、追いこせ」の時代から、ようやく経済大国・先進国と言われる地位を確立するに至った。そして、年々、政治や経済ばかりでなく、教育、文化、スポーツの分野においても国際化が進展し、世界的な規模で国と国との交流が図られ、国際理解が深められている。今こそ、われわれ日本人が世界の平和と繁栄に寄与するために世界の人々と相互依存と協調の関係とを一層緊密にするとともに、その地位にふさわしい国際的役割と分担を積極的に果たすことが求められています。

この社会の要請にこたえて、教育の分野においても、二十一世紀に向かって世界に生きる児童生徒の育成をめざして意図的、計画的に国際理解と交流のための指導を推進していかなければならない。教育課程審議会は、人間性豊かな児童生徒の育成のための教育課程改善点の一つとして、「家族、郷土、祖国を愛するとともに、国際社会の中で信頼と尊敬を得る日本人を育成すること」をあげ、日本国民の国際性の重要さを強調しています。また、本県教育委員会でも「未来をひらく心豊かなたくましい人間」の育成をめざして、「国際性豊かな県民の育成」を第三次長期総合教育計画策定の視点の一つとしています。さらに、臨時教育審議会においても、二十一世紀のための教育の目標の一つに「世界の中の日本人」を掲げ、国際化の必要性を答申しております。

このように、最近「国際化」ということばを、頻繁に耳にするようになりましたが、「真の国際化とは何か」、その意味を十分吟味・検討する必要があります。ともすると、資本、情報、そして物や人が外国に出ていき、また入ってくるという表面的な国際交流になりがちです。しかし、それだけでは不十分であり、それらを通しての内的国際交流こそ、究極の目的でしょう。すなわち、目星活や教育活動において外国の人々の生活やものの見方・考え方などを理解することに努めるとともに、自国の生活様式や文化などを積極的に外国の人々に知ってもらうことによって、異国民が相互に理解し合い、尊重し合い、協調し合うことこそ、大切なのです。

われわれ日本人は国際交流を広め、国際理解を深め、広い視野に立ってものを考え、世界の多くの国々の人々と協調し合い、世界の平和と繁栄に貢献していきたいものです。

この教育における今日的課題を解決するために、県教育委員会は小・中・高校の各一校を二年間研究校に指定し国際理解及び国際交流のあり方の先導的研究の成果を県下に普及させたいと願っています。

また、今年度末には「国際理解教育の手引」を刊行し、県下の小・中学校に配布することによって国際理解教育の向上に資することにしています。

以下、国際理解教育の研究に取り組んでいる三校の実践の一端を紹介いたします。

 

−国交際交流を図り、国際理解を高めるための児童の活動のあり方−

 

−国交際交流を図り、国際理解を高めるための児童の活動のあり方−

小野町立小野新町小学校

 

一、研究主題

 

「国際交流を図り、国際理解を高めるための児童の活動のあり方」

 

二、主題設定の理由

 

(二) 本校の教育目標と今日的課題

本校の教育目標は、人間尊重の精神を基盤として人間性豊かな、心身ともに調和と統一のとれた健全な児童の育成をめざして「自ら学ぶ力を育てる学校」とし、「強い子ども」、「考える子ども」、「明るい子ども」をねらっている。これは、児童が目標に向かってだれとでも仲良く、協力し合いながら最後までやりぬく中で自ら考え、正しく判断できることを願っている。

毎日の生活に必要な物品やその原料や多くは外国からの輸入に依存しているわが国は、外国との交流によって成り立っていると言える。このことから、小学校時代から国際交流や理解に必要な「他国の文化等を理解し、それぞれの価値を認め、外国のだれとでも仲良く、親切な行動ができる」資質を養っ

 

 

 


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