教育福島0112号(1986年(S61)07月)-036page
(二) 講演会
1、英語指導主事助手の講演
本研究推進のため、県教育委員会に英語指導主事助手カール・サンドバーグ氏の派遣を申請し、年三回の派遣が認められたので、昭和六十年度は次のように講演会を開催した。
第一回
日時 七月十二日午後二時〜同三時
演題 「外国人から見た日本及び日本人」
第二回
日時 九月十八日午後二時〜同三時
演題 「アメリカの家庭と生活」
第三回
日時 十一月十九日午後二時〜同三時
演題・「アメリカの文化と行事」
なお、三回とも午前中二時間各学年の授業を指導していただいた。英語を「理解の道具」とする立場に徹した明解な指導は、本校の「聞くこと・話すこと」の領域を重視する英語教育の今後に、多くの示唆を与えた。
2、元交換留学生の講演
三年前に須賀川ロータリークラブ交換留学生として、岩瀬農業高等学校に留学し、現在オーストラリアのニューカッスル大学に在学中のジャニス・ウェリング氏が、昭和六十年の筑波科学博覧会オーストラリア館のアテンダント(随行員)として来日中である機会をとらえて、講演会を企画した。
日時 八月九日午前十時〜同十一時
演題・「オーストラリアはこんな国です」
講演終了後、国際交流生徒委員会の主催で、約五十名の生徒が参加して座談会を行い、オーストラリアの高校生活を中心に、活発な質疑応答が交わされた。
(三) 留学生を招待しての交歓会
この研究実践の柱の一つである在日外国人留学生との交歓会は、各年度に一回づつ開催するよう計画を立て、このことによって友情の輪が広がると同時に、本校生の間に国際理解が深まることを期待した。
第一回は、各地のロータリークラブによる昭和六十年度交換留学生として県内各高等学校にオーストラリアから留学している高校生を招待し、国際交流生徒委員会の主催で、次のように交歓会を開催した。
日時 十二月二日午後三時〜同四時
出席者 アリソン・カイム(岩農) リー・エスタマン(船引高) アニタ・リード(猪苗代高) ジュニファー・トレザイス (元本校留学生)
本校生徒六十名の他須賀川口ータリークラブ関係者
助言者 県教委五十嵐勤主任指導主事
なお、第二回目としては、昭和六十一年九月の白牡丹祭(学校祭)に規模を拡大した交歓会を計画している。
(四) 教科を通しての国際理解教育
1、社会科
国際理解教育を広義に解釈すれば、社会科の学習内容のすべてが直接・間接的にその中に包含される。とりわけ世界史・地理・倫理科目は、究極において国際理解のための基礎的知識や思考の普遍的様式を学習するのが目的であるともいえる。
しかし、いま改めて国際理解教育が社会科との関連課題として取り上げられる背景には、国際理解教育という概念に、より現実的・実践的な意味が含まれていると解釈しなければならない。換言すれば、社会科の学習を通して得られた国際社会についての知識が、単に知識として固定化するのではなく、その知識が国や民族相互間の理解につながり、相互理解がやがて国際社会のさまざまな分野での実践活動を可能にするのでなければならないということである。
一般に、社会科の授業展開はといえば、依然として知識中心の講義式学習に終始しているのが実情であり、知識が、より具体的、実践的な国際理解のレベルにまで成熟していないきらいがあることは否めない。
諸外国の文物や制度に関する日本の高校生の知識量は、おそらくは欧米先進諸国の高校生をしのいでいるはずなのに、一方では日本の青年層に見られる国際的非社交性や過剰な民族意識、あるいは海外ボランティア活動の貧困などが、国の内外から指摘されているのも事実である。社会科学習における画一的な知識偏重主義が、このような隘路を生み出す一因ともなっているとすれば、これを改める何らかの方策を講じなければならない。
以上の観点に立ち、今回の研究にあたって、社会科としては「現代社会」に焦点を絞って国際理解教育の導入を
ジャニス・ウェリング氏の講演