教育福島0112号(1986年(S61)07月)-037page
図ることにした。一つは、「現代社会」が共通一次の必須科目からはずされたことで、受験を意識しない授業の展開が可能になったこと。二つは、学習内容が国際理解のためのすべての領域にわたっていること。三つは、授業の個別化、視覚化、あるいは自由討輪などが容易であることなどの理由による。昭和六十一年度は、一年次のさまざまな実践にもとづき、特に教材の視覚化に重点を置き、映画やビデオを通して、生徒たちに海外事情をいわば準体験させるカリキュラムを作成した。表3にその年間計画(一部)を示した。
2、英語科
高等学校の学習指導要領では、外国語科の目標を「外国語を理解し、外国語で表現する能力を養うとともに、言語に対する関心を深め、外国の人々の生活やものの見方などについて理解を得させる」としている。これは、高等学校の外国語学習の目的が、意思伝達の必要不可欠な手段である言葉の重要性を知って、言葉を正しく聞き、話し、読み、書く能力を養うだけでなく、扱う題材から、外国の人々の日常生活や風俗習慣などを理解することによって、国際理解の精神の基盤を培うということを意味している。
本校英語科においては、前記の目標にもとづき、表現の能力については、「聞く・話す」が強調される近年の方向を充分考慮に入れるとともに、国際理解を一段と高めるための指導を工夫することにした。
いうまでもなく英語科の教材内容は、外国の歴史、地理、風俗、習慣等を中心とするものである。したがって、異なる言語構造を学び、それを運用することによって、異文化に対する理解を深め、広い視野に立って、人生や社会を見つめる目を育成するよう心がけてゆきたい。この研究にあたって、英語科としては、次に掲げる重点目標を踏まえて指導の充実を期している。
1)習熟度別学習の推進
英語1、一週六時間のうち、二時間を習熟度別学習にあて、低学力生徒の学力向上と、全生徒の英語学習に対する興味をひきだすよう努める。
2)「聞く・話す」領域を重視した指導」
昭和五十九年度に、本校英語科が他校と共同研究をした「英語の聞くこと・話すことの研究」を踏まえて実践し、例えば、定期テストにもヒアリングテストを約二十パーセント導入する等の工夫を試みる。
3)視聴覚機材の活用
教材に関係のあるテレビやラジオ放送を中心に、ライブラリーを作って授業に活用する。
4)英字新聞、英語雑誌の教材化
国際理解に密接に関連するものを選択して補助教材とする。
5)MEFの積極的招へい
音声面の活動に重点を置いた教授法の展開によって、コミュニケーションの手段としての英語の重要性を理解させる。
6)各国文化の理解
英語の教科書には、異文化の理解に関する教材が多いので、これを国際理解教育の場としてとらえる授業を工夫する。
7)授業以外の英語教育の推進
英文手紙の指導によって姉妹校等との文通を積極的に行わせたり、修学旅行等で外人との会話を奨励する。また各種英語弁論大会に積極的に参加させる等、生徒の意欲を高めるよう工夫す
表3 国際理解にかかわる年間指導計画(現代社会)
表4留学生キムの授業時間割表