教育福島0112号(1986年(S61)07月)-039page
福島県教育委員会
今回の教育事情の視察は、県中教育事務所管内の小・中・高等学校の各二校と養護学校一校の計七校で行われました。また、「教育懇談会」は三春町で開催され、“児童生徒の健やかな成長をめざして”のテーマのもと、同町の教育関係者六名の方が、教育委員を囲んで意見の発表を行いました。
※日時 六月十二日〜十三日
※場所 県中教育事務所管内
※参加した委員
角田道子教育委員長
鳴瀬寛爾教育委員
諸橋鐵二郎教育委員
坪井孚夫教育委員
初瀬行雄教育委員
以下、視察した学校の模様及び「教育懇談会」についてその概要をお知らせします。
学校視察
◇岩江小学校
完全オープンスペースでの教育を実施し、一人一人の個性を大切にし、ひとり学びのできる子どもの育成を目指している。先生方ば、この学校環境に自信と誇りをもち、夢をもって日々の教育実践にあたっている。
◇湯本小学校
児童数六十四人のへき地校であるが通学距離の遠さや冬の厳しさが子どもたちを強くしている。しかし通過車輌の多い街道沿いに学校があるので、交通事故防止に力を入れている。
◇行健中学校
学級数二十七の大規模校なので、生徒の欠席についても必らず担任教師が確認をとる等、生徒の行動を的確に把握し、早期に対応するなど生徒指導に力を入れている。
◇湯本中学校
生徒数四十八人のへき地校である。学校は、温泉、スキー場等の観光地にあるので保護者は会社勤めの人が多い。そのため、PTAの会合は平日の夜の七時半からはじめるなど地域、保護者との対話に努めている。
◇長沼高等学校
岩瀬、須賀川、郡山地区で唯一の男女共学の普通科高校である。進路変更による中途退学者がめだってきているが、親のつまづきによりやむなく退学するという例も出ている。
◇岩瀬農業高等学校
一年生は全寮制の学校。目的意識の不明確な生徒が増えているが、農業科では、生徒に実習地を与え、責任をもった管理をさせるとか、食品加工科での新製品の研究等、興味と意欲をもたせる指導を取り入れている。
◇須賀川養護学校
病弱・虚弱の児童生徒の養護学校である。通学困難な子どもの場合は在宅訪問教育を実施。五十七年より高等部を設置しており、今後はその進路指導が課題となってくる。
教育懇談会
○日時 六月十二日(木) 午後一時三十分〜三時三十分
○場所 三春町歴史民俗資料館
○出席者
〈意見発表者〉
武藤義男氏 三春町教育委員会教育長
本田忠治氏 三春中学校長
橋本多美子氏 岩江小学校教諭
中村俊一氏 要田中学校教諭
降矢由美子氏 主婦一(春小PTA副会長)
鈴木肇氏 会社員(中妻小PTA副会長)
〇テーマ 「児童生徒の健やかな成長をめざして」
○概要
武藤氏〜子どもが一日一日を充足感をもってすごせる教育のあり方。
本田氏〜教師が授業の合間に人生を語ることのできる教育の必要性。
橋本氏〜子どもをとりまく環境の改善と個性を大事にした教育。
中村氏〜少人数の中で自主、自立の心を育てる教育。
降矢氏〜親と子が一緒に感動できる場をつくるなどの親のあり方。
鈴木氏〜子どもたちの仲間意識を育てるための地域の協力と実践。
▲オープンスペースでの学習を参観する各委員