教育福島0112号(1986年(S61)07月)-040page
昭和61年度第一回教育公聴会
教育のあるべき姿を直言
いわき市(植田町)で開催
去る六月十日、いわき市植田町の市立植田公民館において昭和六十一年度の第一回教育広聴会が開催された。
この教育広聴会は、県内各地の教職員、教育関係者及び地域住民等から、福島県の教育がかかえる諸問題等について意見を聴取し、本県教育行政の参考に資するとともに、よりよき教育行政の発展に反映させるために実施されたものです。
●教育広聴会のテーマ
今、教育のなすべきことは何か
〜明日の豊かな人燭形成をめさして、これからの教育のあるべき姿を問う〜
●出席者
・県教委及び教育庁
福島県教育委員 諸橋鐵二郎
福島県教育長 佐藤昌志
教育庁教育次長 早川俊一
同 総務課長 布村幸彦
同 義務教育課長 皆川新
同 高等学校教育課長 吉田彌
同 社会教育課長 塚本利勝
同 いわき教育事務所長 室井誠三
・意見発表者
黒田弘之氏 いわき市社会教育指導員
大谷健氏 いわき市ユネスコ協会副会長
高橋昌江氏 (前)福島県婦人教育指導員
山田武清氏 内郷少年愛護連盟会長
鈴木直哉氏 (株)呉羽化学工業勤労課長補佐
山下知昭氏 勿来青年会議所理事長
長谷川勝永氏 四倉・久之浜方部連合PTA会長
・傍聴者
いわき市教育委員会教育長 小泉毅一代理出席一
いわき市小学校長会会長 高浜兼一
いわき市中学校長会会長 安部友雄
県高等学校長協会いわき支部長 樫村 五郎
●意見発表の概要
〈黒田弘之氏〉 地域の教育力を高め青少年の健全育成を図る上で、大字単位の愛の一声運動など地域活動の充実が望ましく、また地域活動には中学生の参加が欲しいとともに親の積極的参加を期待している。
〈大谷健氏〉 学校教育の課題として、科学技術の振興、国際理解の教育が急務であり、広い意味でのエリート教育も必要。また、高校入試の内申書に社会参加の欄を設けてはどうか。社会教育面では、公民館制度の見直し、母親教育などが重要である。
〈高橋昌江氏〉 婦人教育に携わり、母性の重み、母親の責任を強く認識している。親は、小一から、評定五にこだわっている。点数中心の進路指導など生活実態の乏しい「知」からの脱却を図り、勤労生産学習の重視など生活に根差した心ある人間としての正しい判断力、子への理解力を持たねばならない。
〈山田武清氏〉 子どもの遊びについて、遊び場が少なく、異年令集団の遊びもない。そのため自然と接する海浜型の少年自然の家の設置や子どもの遊びを勉強し、人間性豊かな子どもを育てるための子ども会の指導者養成が望ましい。子ども会に中学生の積極的参加が望ましい。
〈鈴木直哉氏〉 大卒就職者の傾向としては根生、創造性が乏しく挫折にもろい面があり、仕事への自信も弱い。これに比して高卒は明るく元気である。これは職業高校では偏差値教育から解放されているからではないか。これからは感性、創造性の豊かな人間の育成が必要だ。
〈山下知昭氏〉 今の教師は形式的に過ぎはしないか。学級単位のいじめ相談室など学校、家庭の定期的連携が必要である。子どもの心を育てるため評価でもやさしさ、耐性など人間性の評価をとり入れてはどうか。
〈長谷川勝永氏〉 子どもの成長にとって親や教師の姿は模範である。服装ひとつでもきちんと使いわける必要がある。子どもの言動に共感し、共に納得する場をつくるなどの心の教育を充実することが大事である。
以上の意見発表がなされたあと、発表者と教育委員、教育長はじめ出席者との間で意見の交換がなされました。
▲熱心に意見の発表をする黒田氏と出席者