教育福島0112号(1986年(S61)07月)-042page

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研究実践レポート

 

社会科学習における

観察・表現活動の実践

 

福島市立大波小学校上染屋分校

斉藤吉成 (現、福島市立飯坂小学校教諭)

 

−解説−

 

本論文は、昭和六十年度公立幼・小中・養護学校教職員研究論文入選作です。小学校低学年の複式指導における地域素材の教材化に工夫・改善を行うとともに、体験学習と観察・表現活動の在り方を検証授業を通して明らかにした優れた論文です。

 

一、実践研究の趣旨

 

上染屋分校は、児童数の減少により五十九年度から第一・二学年一八名)の複式学級だけとなった。当分校は複式一学級、教員一入の極小規模校である。

単式から複式への移行にあたり、複式が将来にわたり予想されたので、社会科の指導を同単元二本案(A・B年度)指導として年間計画を立てた。複式は児童、教師ともにはじめての経験であり、その指導は悪戦苦闘の連続だった。昨年度社会科A年度の指導をふりかえると、次のような反省点が指摘できた。

(1) B年度においても、身近な社会的事象を取り上げるために、地域の素材をもう一度見直して教材化を図り、指導計画に位置づけていく必要がある。

(2) 低学年の指導にあたって、社会的事象の具体的な観察のさせ方、効果的な表現活動の進め方について研究を深める必要がある。

(3) 複式指導にあたって、児童間の有機的な結びつきを深め、個人・学年の発達段階の違いを考慮した指導のあり方について研究を深める必要がある。

以上の点を考慮に入れ、以下三つの柱立てにより複式B年度の指導に取り組むことにした。

 

1)地域素材の教材化を更に進める。

2)低学年における観察・表現活動のさせ方について研究を深める。

3)一個を牛かす複式指導のあり方について研究を深める。

 

二、授業実践の構想

 

(一)指導計画への位置つけ

(1) 地域素材の教材化一省略)

(2) 学習指導計画(四月〜十一月)

1) 単元名

「田やはたけではたらく人たち」

2) 単元の設定にあたって

上染屋地区は、山の斜面や谷底に開かれた水田が多く、段々の棚田には段に石が積んであるのをよく見かける。山間地域なので水の確保にとても苦労し、いたるところに溜め池を作り貯水に努めている。農家の多くは第二種兼業であり、そのほとんどが日曜農業という形で米づくりを手がけている。

児童の稲作の仕事の体験は少ないだろうという予想のもとに、本単元の学習に体験的活動を取り入れ、具体的な観察をさせていくことによづて、「米づくり」を通し、自分たちの住む地域の実態が「分かった」という状態にしていこうと考えた。

3) 単元の目標(省略)

4) 指導計画作成上留意した事項

低学年児童の特質を生かし、・観察・表現活動を中心に展開しようとした。

(ア) 長期にわたる活動なので、学習の展開に変化をもたせる。

(イ) 観察実習田を借り、体験的活動を重視する。

(ウ) 合科的な指導を取り入れて、表現活動を展開する。

(エ)観察・表現活動の指導

(1) 観察活動の意義(省略)

(2) 表現活動の意義(省略)

(3) 低学年複式における観察・表現活動の指導上配慮した事項

1) 複式指導にあたっての配慮

少人数学級の利点を生かし、個々の発達段階、観察力・表現力の違いに応じた指導援助に努める。あわせて、思考が深まるような手立てを講じる。

2) 観察・表現活動の指導にあたっての配慮

「観察カード」の常備により、観察活動の意識化、記録の日常化を図る。カードを資料とし「米づくりごよみ」へまとめるが、その際、記録内容の賞揚によって観察の深まりと社会的事象追究の態度育成をめ、ざす。また、観察実習田での体験的活動を中心とした多様な活動により、合科的な指導も含む観察・表現活動の充実をめざす。

なお、観察記録の観点は以下のとおりである。

(ア) 稲の生長(以前と比べて)

(イ) どのような仕事をしていたか

 

 

 


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