教育福島0113号(1986年(S61)08月)-015page

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オ 道徳の時間の指導は、各教科及び特別活動における道徳教育と密接な関連を保ちながら、計画的、発展的な指導ができるように指導内容の構造化、重点化を図る。また、道徳の時間以外の教科等での道徳的教材の活用と指導の充実にも努める。

カ 道徳の時間の指導の充実を図るため、指導内容や指導方法についての実践と研究を深めるねらいとする道徳的価値を明確にし、児童生徒の意識の流れと資料のかかわりやそれに対する教師の発問など指導過程を有機的に構成して、児童生徒が、自己をよく見つめ、自己理解を深めるとともに望ましい道徳性が身につくように努める。

 

2、道徳的実践の指導

 

学校における道徳教育は、学校の教育活動全体を通じて行うことを基本とする。その指導の充実のためには、学校教育において、随時随所で行われる必要があり、また、具体的場面において繰り返し指導することによって道徳的実践の徹底を図ることが大切である。

人間の行為はだれでも一定の動機に基づいて行われる。日常生活の様々な場面で道徳的価値の選択に迫られたとき(道徳的行為を求められたり、自ら進んで志向したときなど)、その行為を選択し、行動決定する自己の内面的資質がより望ましい行為となれば、それはより高い道徳的実践であるということができる。

道徳的実践とは、児童生徒の直接的な道徳的な行為を伴った日常生活の基本的行動様式をはじめとする日々の言動そのものであるといえる。この日々の言動が望ましい道徳性を身につけたものになることをめざして行うのが、道徳的実践の指導である。

児童生徒の実態、学校や地域の実態を的確にとらえ、家庭や地域社会との連携を図って指導の徹底を図ることはきわめて重要である。家庭や地域社会の理解や協力を得ることが道徳教育を一層高めることを心しておく必要がある。

各教科や特別活動等の日々の指導の中で、どのように道徳的実践の指導を行うかについては、全体計画や年間指導計画に明確に位置づけて、学校の全教師のもとに指導が行われるようにする。道徳性に支えられた行為を身につけようとする道徳的実践の指導は、一般に次のア〜ウによることが多い。

 

ア 指示的、強制的指導

イ 模倣による指導

ウ 自発的、主体的学習を促す指導

 

日々の生活目標の指導などは、アを中心として次第にウの要素を増していくことによって効果を上げることが多い。道徳の時間の指導は、主としてウによるのであるが、教師の人柄や言動等から学ぶという場合は主として、イによるものといえる。

 

3、道徳的実践力を培う指導

 

道徳の時間の指導は、道徳教育の目標実現を目指し、計画的、発展的な指導を通して各教科や特別活動における道徳教育の「補充、深化、統合」を図り児童生徒の道徳的判断力を高め、道徳的心情を豊かにし、道徳的態度と実践意欲の向上を図ることによって道徳的実践力の育成を目指している。

この道徳的実践力を培うために、次の事項に配慮して指導を進めることが大切である。

ア 道徳教育の全体計画における道徳の時間の位置づけを明確にする。

全体計画は、道徳教育を有機的、効果的に推進する基盤になるものであり、道徳の時間の指導計画を作成する上でのよりどころである。したがって、これらの関連を明確に図る必要がある。

イ 主題のねらいを明確にする。

主題のねらいは、一般的には道徳教育の重点目標や学年の指導の重点児童生徒の道徳性の実態等をふまえながら、学習指導要領に示された内容に沿って資料との組み合わせを考えて定めるようにする。

ウ 適切な指導過程の組織化を図る。

道徳の時間の指導過程は、道徳的価値についての主体的な自覚を深めさせるための指導の手順を示したものである。児童生徒や学級・学校の実態に即し、教師自身の持ち味を生かした指導をめざすこと、また、発問や資料等を吟味し、指導方法についての工夫改善を図ることにより児童生徒に望ましい人間の生き方を追求させ、ものの見方、考え方、感じ方を深めさせる指導過程の組織化を図ることが大切である。

エ 道徳性についての評価を適切に行い、児童生徒の実態の把握に努める。教師が児童生徒の人間的成長を見守り、よりょく生きようとする努力を評価し勇気づけること、また、一人一人の児童生徒の道徳性と全児童生徒に見られる道徳性の傾向とが、道徳教育の重点目標や指導内容に照らして、どれほど変容し、成長したかを明らかにするよう努めることは大切なことである。しかし、短時間や短期間での変容の評価には十分留意し、常に広い視野に立って長い目で見つめていくようにする。

 

4、家庭及び地域社会との連携

 

学校における道徳教育の効果を高めるためには、家庭や地域社会との連携を十分に図り、三者の間に一貫性を保つことが必要である。学校は、家庭や地域社会に積極的に働きかけ、直接、間接の協力と、理解を求めるとともに、それぞれの機能や役割を明確にし、各

 

 

 


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