教育福島0113号(1986年(S61)08月)-016page

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々指導力の向上に努めていくことが大切である。

今日、地域の教育機能の衰退、家庭の教育力の欠如が大きく問題視されている。家庭は基本的な生活習慣を育成する中心的な場であり、児童生徒の道徳的実践の場でもあって人間形成上重要な役割をもっている。学校との連携によって、この役割を十分に果たせるよう家庭教育の活性化、地域社会の教育力の強化充実を図る努力が望まれる。

 

5) 特別活動の充実

 

1、特別活動実践上の課題

 

(1) 教師間の共通理解と指導体制の確立

特別活動は、望ましい集団活動を通して、「なすことによって学ぶ」教育活動であるところに特質がある。その特質を生かし、充実を図るためには、学校の組織体としての協力的な指導体制を確立しなければならない。

1)指導組織の改善

効果的に機能する組織に改善するには、次の点に留意する必要がある。

ア 全職員の意見が反映され、児童生徒の自主的、実践的活動が育成できる組織であること。

イ 指導の役割分担が明確であること。

ウ 実践を通して、常に評価と改善の手だてを講ずること。

2) 研修の充実と地域との連携

特色ある特別活動を展開するには、校内における研修に努めなければならない。研修は、同時に教師間の共通理解を深め、指導体制を強めることにもなる。

また、特別活動は、目標、内容からも学校の枠を超えて、家庭や地域社会との連携によって効果が一層期待される面が多い。日ごろから相互の信頼関係の確立を図り、学校の指導方針についての理解を得るようにすることが大切である。

(2) 特別活動における評価

特別活動の評価は、次の三つの特質からとらえることが大切である。

集団と個人のかかわり合いからとらえること。実践活動や行動、態度の変容の過程をとらえること。児童生徒の特性を考慮して行うこと。

また、評価の対象として次の四つを取り上げる必要がある。

 

ア 指導計画の評価

イ 指導内容方法の評価

ウ 個々の児童生徒の発達の評価

エ 児童生徒集団の発達の評価

 

(3) 指導計画及び指導方法の改善

1) 指導計画の改善

特別活動の指導計画は、児童生徒活動、学校行事、学級指導の三つの内容のそれぞれを生かしながら目標の達成を目指すものであることを踏まえ、自校の指導計画を検討し、改善を図る必要がある。

 

ア 全教師が計画の作成に当たっているか。

イ 児童生徒が意欲的に取り組める計画となっているか。

ウ 他領域や各内容との関連が図られているか。

エ 指導内容の系統生、発展性が考えられているか。

オ 学校の創意を生かした教育活動の時間との関連が明確におさえられているか。

2) 指導方法の改善

指導方法の改善に当たっては「なすことによって学ぶ」という方法原理を踏まえ、次の点を大切にする必要がある。

〈児童(生徒)活動〉

ア 児童生徒の自発的、自治的な活動の育成に努めているか。

イ 集団生活の向上を大切にし、所属感、連帯感の育成に留意しているか。

ウ 人間的な触れ合いを大切にした場となっているか。

エ 一人一人の児童生徒の個性や能力を伸長する指導がなされているのか。

〈学校行事〉

ア 学校生活に変化をもたらし、成就感、充足感を体験させているか。

イ 日常の学習成果を総合的に生かす配慮がなされているか。

〈学級指導〉

ア 問題解決を援助する計画的、発展的な指導がなされているか。

イ 学業生活の充実や進路の選択に関する指導を通して自己実現を図る配慮がなされているか。

 

2、自発的、自治的活動を促す学級会活動

 

学級会活動は、学級生活を向上発展させるため、自発的、自治的に学級生活に関する諸問題を話し合い、その解決を図る活動及び学級内の仕事の分担処理に関する活動を行うことによって学級集団の一員としての自覚を一層高め、健全な自主性や社会性を養い、個性の伸長を図ることをねらっている。

指導に当たっては、次の点に留意する必要がある。

ア 一人一人の児童生徒を正しく理解することに努め、特性を生かすこと。

イ 協力して学級内の諸問題を解決する喜びや、分担した役割を果たす喜びを体験できる活動にすること。

ウ 学級会の係の種別や数は、学級の実態や児童生徒の希望を考慮し、適切に定めること。

エ 係を分担させる際は、全部の児童生徒に役割を与え、長く固定せず、多くの経験をさせるようにすること。

オ 児童生徒の評価活動を大切にし、次の活動が一層充実するような援助指導を大切にすること。

 

 

 


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