教育福島0113号(1986年(S61)08月)-019page
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ての計画、運営、管理などを実践する任務をもっている。そして、直接児童生徒に接し、指導する立場から学年経営を推進し、学校経営を支える重要な立場にあることを忘れてはならない。したがって、学級経営に一層情熱と創意工夫を重ね、その経営効果を高める努力が必要である。
また、学級における望ましい人間関係を育てるうえでの学級担任の果たす役割は極めて大きいことを自覚し、経営に当たることが大切である。
次に、学級担任の果たすべき主な役割について述べてみたい。
(1) 学級経営の主体者
学級担任は、自己の学級に所属する児童生徒一人一人を大切にし、その可能性を最大限に伸ばしながら集団生活の中で人間形成を図るため、生徒指導や学習指導等の教育活動を行う最高責任者である。この責任を自覚し、使命感をもって学級の目標や方針に従い、児童生徒の実態に応じてその経営に全力を尽くすべきである。
(2) 望ましい集団づくりの指導者
学級集団は、最初から「望ましい集団」として存在しているのではない。それは、学級目標を実現していく過程や学校におけるすべての教育活動が学級で統合、深化、発展される過程で、段階的に形成されていくのである。
したがって、学級担任は、児童生徒が学校生活に適応し、それぞれの自己実現に向って生き生きと生活できるよう望ましい学級集団を築きあげていかなければならない。
(3) 各教科、道徳、特別活動の指導者
学級担任は、各教科、道徳、特別活動の指導者として直接学習指導に当たる。児童生徒の一人一人の個性や能力等を十分おさえ、賞賛と励ましを与えながら教えるべきことはしっかり教え、伸ばすべきことはどんどん伸ばしてやらなければならない。そのためには、学級担任として教材研究を深め、指導法に絶えず創意工夫を加え、「わかる・できる授業」の展開に努め、児童生徒に自信とやる気を起こさせる必要がある。
(4) 他の教師との連携による指導
児童生徒の指導には、それぞれの役割をもった教師の組織的な協力が必要である。
常に学年主任を中心として同一学年の教師、教科・分科担任、養護教諭等との情報交換、意志の疎通により指導の一貫性を保つことが極めて大切である。学級担任としては、教職員との円満な人間関係を基盤に積極的に相談し、謙虚に援助を仰ぐ態度をもつべきである。
(5) 家庭と連携しての指導
学級担任が学級の一人一人の児童生徒をより深く理解して指導に当たるためには、どうしてもその家庭環境を理解することが必要である。最近、保護者の価値観の多様化などにより、その必要性は一層強くなってきている。平素から家庭と緊密な連携を保ちながら相互の意志の疎通を図り、信頼と協力関係を確立しておくことが大切である。
3、学年教師間の連携による指導
学級経営が、学校経営の一環としてその教育効果をあげるためには、その媒体となる学年の体制を組織化することが必要であり、学年の教師が互いに共通理解を深め、協力し合って経営の実をあげるよう努めなければならない。
そのため、次の点に努力したい。
ア 学年の各担当教師が、その学年の成員であるという自覚に立って主体的に行動するとともに、相互に連携、協力し合って共同の責任を負い、一体的な結びつきをもって指導に当たる。
イ 学年の指導の目標や方針、諸計画の立案、日常生活に関する基本的行動様式の在り方等について、学年内の教師が共通理解を深め、協力し合って指導、援助していくよう努める。
ウ 学級経営は、他の学級とのかかわりなしに独立的になされるものではない。学年全体との統一と調和を保ちながら「開かれた学級経営」をすすめる。
エ 学年内の教師の特性を生かすことが大切である。特に生徒指導は、内容によっては学級担任による指導だけでなく、学年内の他の教師の特性を生かした協力的な指導によって一層の効果をあげることができる。
8)進路指導の充実
1、進路指導の課題
進路指導は、本来人間の生涯教育の立場から進められるべきものであり、将来におけるしっかりした人生観・職業観を育てるための援助指導である。
したがって、第三学年を中心とした職業紹介や、高等学校進学のための準備、学習補充などではなく、生徒一人一人が自己の進路について深く考え、自ら進路を選択し、将来の生活において職業的自己実現が図られるよう、学校の教育活動全体を通じて組織的・計画的に進めることが大切である。
そのためには、すべての教師が進路指導の意義を十分理解するとともに、自校の問題点を明らかにし、次のような課題の解決に努めることが必要である。
ア 進路指導の意義及び重要性についての理解を深めるとともに、進路指導の組織を整え、全体計画を見直す。
イ 進路指導の校内研修や校外研修を積極的に行い、指導体制を確立するとともに、適切な進路情報の提供と進路に関する授業及び進路相談の充実に努める。
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