教育福島0113号(1986年(S61)08月)-040page
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研究実践
レポート
文字に親しみ
読み書きの力を高める指導
飯舘村立飯樋小学校教諭
安田鉄男
(現・県立大笹生養護学校)
−解説−
本論文は、六十年度教職員研究論文入選作です。児童一人一人の実態に即した指導目標の設定と指導の研究・方法の工夫により、児童の確かな変容が認められる実践的研究である。また、二年間にわたる実践の積み上げがよくなされた優れた研究です。
一、主題設定の理由
本校特殊学級は精神薄弱特殊学級であり、五十九年度(A・B・C・D・E・F児)と六十年度(A・B・C・G・H・I児)は、それぞれ六名の学級編成で指導を行ってきた。学年および一人一人の能力差が大きく、このような実情から学習意欲も低調であった。
そこで特に全ての学習の基礎となる国語の文字(平仮名・片仮名・漢字)の読み書きの力をつけさせ、日常生活に役立たせたいと考えた(対象児の実態は資料1参照)。
個人ごとの実態把握と今までの指導を反省してみると、児童一人一人の能力に応じて具体目標を明らかにし、指導の手だてと指導形態を工夫しながら指導しなくてはならないと考え、本主題を設定した。
二、研究の仮説
文字(平仮名・片仮名・漢字)に親しみ読み書きの力を高めるには、一人一人の能力・特性に応じて具体的目標を設定し、指導方法と指導形態を改善していけば、意欲も高まり確実に文字の読み書きの力が身につくであろう。
(1)具体的目標
仮説にせまるために、児童の実態把握から指導における一人一人の具体的目標を設定した(後述)
(2)指導方法
以下の様な方法を能力に応じて適用する。
カードによるくり返しの学習
平仮名・片仮名・漢字カードを用いくり返し指導をし定着を図る。
個に応じたプリント
一人一人の能力に応じた学習プリントを作成し、学習が進められるようにする。
指導形態の工夫
個別・グループ・一斉指導の指導形態を適宣活用していく。
三、指導の実際
五十九年度
(1) 授業における実践
五十九年十月から六十年三月まで週二時間の国語の時間を設定し、以下の内容で実施した。
1)目標・指導形態
児童 具体目標
A・C ○平仮名・片仮名の読み書きができる
B・D ○1・2年程度の漢字が読める
E・F ○2年生程度の漢字の「読み」の力を伸ばす
二グループに分けての指導とし、A・C児については随時個別指導をしていく。
2)具体的な手だて
A・C児 平仮名・片仮名の「読み」では言葉集め・しりとり・かるたとりなどをさせたり、簡単な文章を一字一字読ませたり、遊びを多く取り入れ、文字に親しませた。「書き」では「読み」学習との関連を図りながら、なぞり・空書き・破線文字視写などを取り入れた指導およびプリントを作成した。A児については発音が不完全だったので特に勘音の発育の指導を、C児については定着が芳しくなかったので「がんばれC児わからない字」という表を黒板に掲示し、読み書きができたらシールをはらせ、児童全員で応援しながら学習への意欲づけを図ってきた。B・D・E・F児 表に漢字、裏に読みがなを書いた漢字カードとその漢字を使って文章にした学習プリントを用意し、四人グループでD・E児を班長にし教え合いながら学習を進めさせた。また喜んで学習に取り組ませるために、漢字カードを使ってかるたとりをさせ既習漢字の復習に役立たせた。
資料1 児童の実態
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※59年度にA・B・C児入級。60年度にG・H・I児入級
※IQは田所・田中ビネー知能検査を使用
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