教育福島0113号(1986年(S61)08月)-041page

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(2) 朝の時間における実践

五十九年十月から六十年三月までの朝の時間に実施し、以下の内容で指導した。

1)目標・指導形態

 

児童 具体目標

A・C ○平仮名・片仮名が書ける ○1・2年生程度の漢字の「書き」の力を伸ばす

B・D E・F ○1・2年生程度の漢字が書ける

 

一斉指導の中で個人の到達目標を定め、平仮名・片仮名・漢字の「書き」の力を高めることを目標とし、その中で個別指導を行う。

2)指導法

朝の時間に平仮名・片仮名・漢字で二つの言葉(例1やま・ヤマ・山)を学習させ、この書き取りの練習を家庭学習として課し、次の日の指導前にテストをして確かめた。具体的な指導課程は以下の通りである。

 

1、教師が板書した平仮名・片仮名を視写する。

2、板書してある漢字を見て教師と一緒に空書きをする。

3、漢字を見てどのような既習文字や字形からできているか考える。

4、筆順・字形の構成(3での学習を基に)に気をつけ漢字を視写する。

5、ノートに視写した文字が正しいかどうか教師が確かめ、まちがった時は再指導をする。

6、家庭でノートに一行ずつ書き取り練習をする。

7、書き取りテストをする。

8、まちがった文字の練習をする。

 

3)具体的な手だて

A児 当初漢字を正しく視写できなかったので、ます目の大きなノートを使いなぞり書きをくり返し行うとともに、家庭学習においても同様な指導を行ってもらった。

C児 片仮名の習得が不十分だったので、教師がノートを見る時に平仮名と対応して読ませたり、濁音にしたり、字形の似ているものを指導したりしてきた。

B・D・E・F児 平仮名と片仮名の復習をするとともに、漢字がどのような既習文字からできているか字形の構成(例=早は日と十など)を中心とした指導をした。

六十年度

新入級児三名(G・H・I児)を迎え、文字力習得状況の実態把握をし、週二時間の国語の時間を漢字指導にあて、以下の内容で指導してきた。

(1) 目標・指導形態

 

児童 具体目標

A・C ○1・2年生程度の漢字が読める

B・G ○2年生程度の漢字が書ける ○3年生程度の漢字の「書き」の力を伸ばす

H・I ○2・3年生程度の漢字が書ける

 

「読み」と「書き」の二グループで指導し、その中で随時個別指導を行った。

(2) 仮説の修正

漢字の「読み」と「書き」を指導するにあたり、前述の仮説を以下のように修正した。

 

読み

漢字の「読み」の力を高めるには、カードや文章の中でくり返し読んでいけば身につくであろう。

 

書き

漢字の「書き」の力を高めるには、筆順や寧形に気をつけ視写し短文作りをし、練習していけば身につくであろう

 

(3) 具体的な手だて

A・C児 前述の漢字カードと漢字を使って短文にした学習プリントを読ませ、くり返し指導してきた。既習漢字をなるべく短文に使い、忘れないようにした。また随時短文作りをさせて「読み」の力を身につけさせた。

B・G児 漢字の字形に着目させ、どのような構成からできているかを中心に指導し「書き」の力を高めた。

H・I児 比較的能力の高い児童であるので、一つの読み方だけでなく、他の読み方や、知っている熟語・対語なども取りあげ、語い力を高めて「書き」の力を高めた。

 

四、まとめと今後の課題

 

(1) まとめ

児童一人一人に具体目標を持たせ、指導形態を工夫しながら、援助指導を通して文字力を高める実践を行ってきたが、まだまだ満足する伸びとは言えない。しかし、児童一人一人がいきいきと文字学習に取り組み、教え合ったり、競い合ったりする協力的学習の姿が見えはじめてきたことは喜ばしい。

(2)今後の課題

児童一人一人の具体目標のもとに、以下の様な課題で援助指導を行う。

A児 学習した漢字を使って短文作りをさせ、それを日常の会話の中で使える指導。

B児 3年生程度の漢字の「読み」の復習と字形の構成を中心とした「書き」の指導。

C児 文章の中で更に読ませ、簡単な漢字まじりの文を読ませる指導。回四三年生程度の漢字の字形の構成を中心とした「書き」の指導

H児 筆順を正しく書くことと、辞書を活用させ、意味や熟語を調べさせて、作文や日記に生かせる指導。

I児 漢字をていねいに書かせるとともに、辞書を活用させ意味や熟語を調べさせる指導。

 

国語の授業を進める安田先生

国語の授業を進める安田先生

 

 

 


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