教育福島0113号(1986年(S61)08月)-044page

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養護教育センター通信

 

養護・訓練について

−養護教育センターの役割−

 

障害をのりこえ社会参加をめざそう

 

はじめに

六月から、養護教育センターでは、県内の盲、聾、養護学校教員をはじめ、小・中学校特殊学級担当教員、幼稚園寄宿舎職員等を対象として、各種の研修講座を開始しました。その一つとして、養護・訓練研修講座を実施したのを機会に、養護・訓練とは何か、また養護・訓練における当センターの役割等について紹介することにします。

 

一、養護・訓練とは何か

 

養護・訓練は、「児童・生徒の心身の障害から生じる発達上の遅滞や欠陥を補い、望ましい成長を促進助長するために、特別な指導分野を教育課程の中に位置づける」という趣旨に基づいて、昭和四十六年三月に告示された「特殊教育諸学校小学部・中学部学習指導要領」(以下「昭和四十五年度版学習指導要領」という)から、新しい領域として設定されたものです。

その後、現行の学習指導要領である昭和五十四年七月改定の「盲学校、聾学校及び養護学校小学部・中学部学習指導要領」(以下「昭和五十四年度版学習指導要領」という)でも、その目標及び内容は、昭和四十五年度版学習指導要領と全く同じです。

(一) 養護・訓練の目標

児童又は生徒の心身の障害の状態を改善し、又は克服するために必要な知識、技能、態度及び習慣を養い、もって心身の調和的発達の基盤を培うことを目標としています。

(二) 養護・訓練の内容

A、心身の適応

一、健康の回復及び改善に関すること。

二、心身の障害や環境に基づく心理的不適応の改善に関すること。

三、障害を克服する意欲の向上に関すること。

B、感覚機能の向上

一、感覚機能の改善及び向上に関すること。

二、感覚の補助的手段の活用に関すること。

三、認知能力の向上に関すること。

C、運動機能の向上

一、肢体の基本動作の習得及び改善に関すること。

二、生活の基本動作の習得及び改善に関すること。

三、作業の基本動作の習得及び改善に関すること。

D、意思の伝達

一、言語の受容技能の習得及び改善に関すること。

二、言語の形成能力の向上に関すること。

三、言語の表出技能の習得及び改善に関すること。

(三) 養護・訓練の指導計画の作成と内容の取り扱い

現行の昭和五十四年度版学習指導要領には、次のように示されています。

1、指導計画の作成に当たっては、個々の児童又は生徒の心身の障害の状態、発達段階及び経験の程度に応じて、それぞれに必要とする(二)の内容を相互に関連づけて具体的な事項を選定し、個別にその指導の方法を適切に定めるものとします。

2、指導計画の作成に当たっては、各教科、道徳及び特別活動における指導と密接な関連を保つようにし、組織的、計画的に指導が行われるようにするものとする。

3、内容の指導に当たっては、個々の児童又は生徒の心身の障害の状態及び能力・適性等に応じた具体的な目標を明確にし、児童又は生徒の意欲的な活動を促すようにするものとします。

4、養護・訓練の時間の指導は、専門的な知識や技能を有する教師が中心となって担当し、全教師の協力のもとに、効果的な指導を行うようにするものとします。

5、児童又は生徒の心身の障害の状態により、必要に応じて、専門の医師及びその他の専門家の指導・助言を求め、適切な指導ができるようにするものとします。

以上から、養護・訓練は、学習の基盤となる心身を、可能な限り健全に育てることに主眼をおき、障害の状態を改善又は克服できるように、専門的知

 

 

 


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