教育福島0113号(1986年(S61)08月)-043page

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でいずれも材料になる。しかし、特徴をうまく利用しないと楽しく遊べない。草笛を作るには、茎が中空でしかも適当に柔らかくなければならない。

児童が使って遊べるということは、遊びを通して自然認識を高め、感覚を、とぎすまし、無意識に草花の特徴に気づいていることになる。

 

(二) 「こうていのむし」(六月)では、認識の深まりを想定して、身体表現を中心にすえた。低学年では、気づいたことを言葉だけでなく、動作や造形活動などで表現することによって事物の特徴によく気づいたことになるのであるまいか。(資料1)

表現の段階を経てはじめて認識が深まると考えたい。とりわけ低学年の特性から、身体表現は効果的であった。

 

(三) 「あめふり」 (七月)では、前時とのつながり問題意識をおこさせ、自然の不思議さに気づかせた。

「あれっ。きのうのトンネルがない」児童は、雨によって地面の様子が一変したことに驚きの声をあげた。雨ふりの体験が児童にないわけではない。無意識のうちに過ごしてきたために自然の姿のおもしろさや不思議さに気づかなかったのだろう。

「美しい」とか「不思議だ」とか、「どうして」とかの言葉は、豊かな感情のあらわれとみたい。自然を見る目が育ったことにより、新しい驚きや感動となったのだ。

 

(四) 「いしあそび」(九月)では、造形活動を通して、石の色・形などのおもしろさに気づかせた。

合科的な指導については、まだ、研究不足の点も多いが、自然に接する時間を多くし、余裕を持って遊べることと、自然から学ぶための多様な活動ができることなどから取り扱っている。

 

(五) 「感動する子ども」に近づくための観察ノート(みつけたノート)を児童は、毎日書き続けた。

 

九月十七日(火よう日)

せんせい、あのね。わたしは、きょう、がっこうからかえりみちあるいているとき、かげのふしぎをみつけました。

たいようがわたしのうしろにでているときは、まえにかげができていました。たいようがまえにでているときは、きっとかげはうしろにできるよね。

 

このような児童の発想を大切にし、授業で生かしていくようにした。

自然とのふれあいやはたらきかけに喜びが生まれるということは、活動が単なる行動に終わらず、くり返し活動する中に、工夫が生まれ、深まっていく児童の心に訴えるなにかが生じた時に実現するものと思われる。

 

五、成果と今後の課題

 

(一) 成 果

1)ふれあい遊びの授業は、児童の興味・関心・意欲を盛り上げるのに効果があった。低学年の児童にはめずらしく学習の持続が見られた。

活動を工夫したことにより、五感を生かして自然をみたり、作ったり表現したりして観察が深まった。

2)身近な地域の自然を教材化することは、容易なことではない。理科の素材は特に多種多様で、自然界はきびしく、予想がはずれることが多い。児童とともにする教材研究が大いに役立った。

3)観察ノート(みつけたノート)を記録させたことにより、一人一人をよく理解し、かくれた良さを発見し、児童理解に一段と力をいれるようになった。

こうした授業を支えるものは、学校教育活動全体のなかに位置づけられている豊かな自然体験活動である。学校行事や創意の時間を中心に自然にふれ、はたらきかける活動が日常的・継続的

・計画的に推進することが大切であることを痛感した。

(二)今後の課題

自然を調べる能力や関心・態度の評価の内容や方法について具体的な基準を設定し、効果的に進めていきたい。

 

資料1 こうていのむし(だんごむし)活動の流れ

 

 

 

 


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