教育福島0114号(1986年(S61)09月)-026page

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いう人だろう。いつ、場所はと、つい嬉しい気分で封を切る。現在勤務している学校で五校目と、比較的多くの学校に勤めたので、二番目に勤めたA高校の分は、ほぼ決まりがっき、一昨年あたりから三番目の勤務校の最初に出した卒業生の分が始まっている。

それにしても、阿武隈山系の真ん中にあるA高校の教え子の披露宴には、数え切れないほど出席させてもらったどうしても都合があって、日帰えりで出席させていただくつもりで、車で出かけたのに、新郎、新婦以上に私の出席を心から喜んでくれた両親の差し出すお酌をつい口にして、その晩、急拠、その町の旅館に泊まってしまったことが何度あったことだろう。私の祝辞以上に立派な教え子のテーブルスピーチを聞いて恥入ると同時に、卒業の日から今日に至るまでの教え子の成長を素直に喜んだり、出席した教え子や、かねてから気にしていた教え子の近況を聞いたり、「次は私が結婚するので、出席願います」など、次の予約を受けつけたり、皆に囲まれて、祝い歌を唄ったり、それはそれは楽しい宴の時を過ごすのである。

いつも感心するのは、教え子の相手の新郎(新婦)の恩師の祝辞である。

在学中の細かい観察や、教え子の当時のリアルな言動、それに、教師と生徒との深い人間的な触れ合いなど、出席者の多くを頷かせるエピソードなどが披露されると、通り一遍の祝辞しか用意していなかった時の私は、この場から逃げ出したい気持になる。まさに教師としての力量までが問われているような錯覚すら覚えるほどである。「よし、今、担任している生徒については、内容のある立派な祝辞が述べられるように、一人一人を良く理解しよう」などと考えながら、その祝辞を聞くことになる。

懇意にしていただいている、ある医師が、こんなことをおっしゃった事を思い出す。「学校の先生というお仕事は、誠にうらやましい。我々医師は、病気を治したり、命まで救っても、成長してから結婚式に招待されることは、めったにありません」と。

さて、また巡り来る秋。郵便受けを覗いては、楽しくもあり、ちょっぴりほろ苦くもある結婚披露宴の招待状が届いていないかと待ち望む季節の到来である。

(県立大沼高等学校教諭)

 

子どもと遊ぶ

関根 よし子

 

です。しばらくたって、別の幼稚園の先生からも同じような話を聞きました。

 

先日、私たちの幼稚園のある先生から「最近、男の子がままごとをして遊んでいる」という話を聞きました。それも、以前のように女の子が主体になり、男の子はお父さん役で、朝食を済ませて「行ってきまーす」と仕事に出かけるという"お客さま"的な参加ではなく、男の子ばかりが集まってままごとをしているというのです。しばらくたって、別の幼稚園の先生からも同じような話を聞きました。

最近、子どもの遊びが変わったとか遊べなくなったと言われています。また、現代の子どもに必要なものは"さんま"であるという話を聞いたこともあります。 "さんま"とは、子どもが自由に使える時間、安心して遊べる空間、そして一緒に遊ぶ仲間だということでした。現代の子どもに欠けているものを的確に表現していると思います(そしてこの事実は子どもにとって大きな損失だとも思います。

私は小学校生活の大半を山奥の分校で過ごしました。当時の分校生活は勉強よりも遊び一それも周囲の恵まれた自然環境の中での−の方が多かったと思えるほど、校外に出て四季おりおりの自然にふれることができました。

春の草花遊びに始まり、夏の川遊びや林の中で木の枝を組み合わせた"お城"作り、秋のいなご取りやきのこ採り、冬になると雪合戦…。これらの遊びはいつも何人もの友だちと一緒で、特にお城作りなどは、アイディアを出し合って低学年の子も積極的に参加していたことを覚えています。

今、子どもたちに自然の中での遊びを経験させようとすれば、多くの制約があり、相当困難なのではないでしょうか。また、自然の中で遊びを工夫する姿より、むしろ室内にこもってテレビゲームに興ずる姿の方が容易に想像できるという現状になってきていることも事実だと思います。

「テレビゲームを持っている子の家には、たくさんの友だちが集まる。しかし、ゲームの順番を待つ間は各々が漫画の本を見、順番がくると黙ってゲームをする」とある本で読みましたが、このような中では当然のことながら、友だちが何人集まっても子どもに自主性や社会性などが育つはずはありません。

今年、私たちの幼稚園に与えられた幼教研の分科会主題は「地域環境を生かした活動を中心に」です。子どもたちの遊びの実態を調べてみると、やはりこの地域でも子どもの遊び場は室内か家のまわりで、しかも、遊ぶ友だちの数はごく少数に限られているという結果が出ました。そこで、とにかく子どもたちにもつと自然の中での遊びを経験させながら、自主性、創造性、社

 

 

 


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