教育福島0114号(1986年(S61)09月)-029page
二十ページからのつづき
な活動で、授業における導入の段階ととらえている。
事後指導は、授業後に行われる個別相談・個別指導である。
2) 指導方法の工夫
授業研究会を中心として授業の改善・充実に努めたが、どの授業においても
ア、資料の活用
イ、自主活動の促進
ウ、興味・関心の喚起
エ、個別指導の導入を工夫することを研究課題として実践に取り組んできた。
興味・関心のない授業では、意欲を育てることも、進路について考えることもできない授業になってしまう。「やる気」を引き出す動機づけ《導入》は重要である。そのために資料の果たす役割は大きいものである。本校では、どの授業でも生徒による情報収集や資料作成(事前指導としての活動)に多くの労力と時間を費やしてきた。作成した資料は、
ア、学級を対象とした調査
イ、川俣町の職業
ウ、父母の手紙
エ、先輩へのアンケート
オ、先輩からの手紙
カ、地場産業の見学の記録
キ、自分たちで調べた高校の特色などで、自分が知りたいと思うことや悩みに直接かかわりのある事柄であるため、テキストにある資料とは比較にならない。学習内容に対する関心を高め、話し合い活動を活発にするなど、進路学習と個人との結びつきを強め、内容の充実した授業にするのに役立ってきた。
進路指導は、個々の生徒への指導・援助を核として行われるものであるが、授業における個別指導には限度がある。
本校では、授業における「意欲づける」段階を個別指導とし、ワークシートの活用により個別指導の時間をつくると共に、個別相談(事後指導)と連携させることで効果的に実施できたものと考えている。
(5) 自己理解・生徒理解
1) 一人一人の生徒に抱かせる「将来の希望」に焦点をあてながら理解を深めていく。
2) 日常観察、諸活動のようすなど、広い目で生徒理解に努める。
3) 生徒の「自己評価表」を活用し、生徒理解を深めていくと共に、生徒の自己理解を深めることに努めていく。
五、おわりに
五十九・六十年度の二年間にわたり授業研究を中心にして、生徒活動の促進、指導法の工夫、資料の作成等の実践を続けてきた。その結果、生徒の進路に対する関心が高まり、進路学習に取り組む姿勢も意欲的になった。授業に使用する資料の収集も計画的に行われ、授業充実を側面から盛り上げてきた。これらの収集された資料や授業で使用されたカード、ワークシート等は整理・分類され資料室に保管されている。
広報部では、保護者との連携をねらいとして、生徒の考え、先輩の意見、保護者の意見、授業紹介等、内容の充実した進路広報紙『道しるべ』を発行している。
この度の研究のまとめとして、自己理解に関する内容と、進路の選択に関する内容については、学習指導案とワークシ−トを作成している。この資料集は今後の学級指導の充実に大きな役割を果たすものと考えている。
進路選択能力を高めるという目標に向けて、実践していかなければならない課題は多い。私たちは今度の研究を土台として、生徒の生き方や進路選択能力の育成のために研修を続けていかなければならないと考えている。
表5 自己評価表