教育福島0114号(1986年(S61)09月)-030page

[検索] [目次] [PDF] [前] [次]

自己の適性を理解させ、能力を啓発する進路指導

双葉郡双葉町立双葉中学校

 

一、主題設定の理由

 

本校の高校進学率が百パーセントになろうとしている現在、生徒の中には自分の将来の見通しを持たず、また、自分の能力・適性も十分認識しないで進学を希望する生徒が出てきている。

このような現状から、教師も、生徒の能力や適性を十分考えた上での進路指導ではなく、進学希望者を全員合格させることが重要であるという進学中心の進路指導を行う傾向がみられている。また、保護者も「高校ぐらい出ないと」とか「進路選択は三年生になってからでよい」といった安易な考えで進路選択に対処してきたことは否定できないし、一部ではあるが、有名高校志向もある。

このような現状の中で、本校卒業生の中にも、高校進学後、中途で退学した生徒や、自分の進学した学校・学科に不満をもっている生徒も多くなっている。進路指導は、「将来の生活における自己実現に必要な能力や態度を育成する」という、いわゆる「生徒自らの生き方」についての指導・援助であるという観点から、生徒一人一人が自分の将来に関心を持ち、志を立て、自己理解を深め、適性を見い出し、自分の能力を更に伸ばしていくよう指導することが大切である。また、保護者には、適切な場と機会を設定して積極的に働きかけて、生徒の適性を知り、将来の職業を見通した進路選択に対する認識を深め、生徒の進路選択に適切に対応できる資質を高めていく必要がある。

 

二、研究組織(図1)

 

三、各部の研究のねらいと内容

 

指導計画部

 

1 研究のねらい

 

進路指導が、本校の教育活動の中核として進められることになるが、これは、各教科、道徳、特別活動との関連を図り、それぞれの目標を達成しながらも、生徒が、自分の将来の進路について考え、望ましい進路選択ができ、将来の社会生活において自己実現を図ることのできるような進路指導を行う、ということである。

このような進路指導を計画的、組織的に進めるために、次の点について研究した。

(1) 進路指導の全体構想を明確にするための全体計画の作成

(2) 学級指導の題材配当表の作成

(3) 学級指導における進路に関する題材と関連する事項についての年間指導計画の作成

 

2 研究の内容

 

(1) 全体計画の作成

1) 「本校の進路指導上の課題」と

「学校教育目標」及び「進路指導の基本的事項」との関連をふまえ、本校の教育活動全体を通して行う進路指導の目標を設定した。

2) 進路指導の基本方針を定め、更に各学年の目標及び内容を明らかにした。

3) 三領域及びその他の教育活動の目標を明らかにした。

(2) 学級指導題材配当表の作成

学級指導に当てられている年間二十五時間を、「進路の適切な選択に関すること」の指導に重点をおき、一学年、十二時間、二学年、十七時間、三学年、十四時間を配当し、それぞれの学年の配慮事項を明らかにした。

(3) 他の関連事項の指導計画の作成

学級指導における進路指導の年間題材配当と学校の諸教育活動を整理、統合して、学級指導の時間以外の指導の場においても、進路指導を十分考慮して、充実、強化が図れるよう取り扱うことにした。

 

学級指導部

 

1 研究のねらい

 

進路指導が集中的に行われる場としての学級指導(「進路の適切な選択に関すること」)の授業の充実に努め、授業を通して、生徒一人一人の進路への関心の高揚、進路の明確化と吟味、適切な進路選択の指導を効果的に行うため、年間指導計画の検討、改善、活用と指導過程の研究を行った。

 

2 研究の内容

 

図1 研究組織

 

 

 

 


[検索] [目次] [PDF] [前] [次]

掲載情報の著作権は情報提供者及び福島県教育委員会に帰属します。