教育福島0114号(1986年(S61)09月)-032page
十分な個人資料をもち、過去からの指導経過の累積をもつ学級経営誌を最大に活用することが、個別指導に一貫性をもたせ、保護者と生徒から信頼される進路相談を進める上で大切である。
情報・資料部
1 研究のねらい
主題解決のための手だて「自己理解と進路について指導・援助を行う」から、情報・資料の収集、提供はいかにあるべきかを研究のねらいとし、
(1) 進路の多様性に応じ個人理解をより正しく、深くするもの
(2) 進路選択、決定に関するもの
(3) 新しい環境への適応と自己実現に関するものを取り上げ、生徒一人一人の発達段階に応じ、継続的、計画的に、順序性にしたがって、更に保護者の要望に対応できる情報・資料を収集、整理し、提供することができるようにした。
2 研究の内容
(1) 個人理解のための調査・検査の目的と実施
1) 一学年
ア、進路希望調査進路意識の発達状況と、現時点での進路希望を明らかにし、関心を持たせる。
イ、保護者の意識調査
学校の進路指導と子どもの進路希望についての考え方に対する保護者の意見の相違、期待を明確にする。
ウ、悩みの調査
悩みの内容を明らかにし、進路(教育)相談に資する。
エ、知能及び学力検査
新成就値により、進路希望実現のための個に応じた学業指導を進める。
オ、スポーツテスト
他の検査結果とともに、自己理解の資料とする。
カ、進路指導検査
生徒一人一人について、進路・生活適応・能力の詳細な分析を行い、指導・援助すべき点を明らかにする。
2) 二学年
ア、各調査・検査は、一年時からの変化の状態を見る。
3) 三学年
ア、各調査・検査は、二年時からの変化の状態を見る。
イ、知能検査・学力検査
アンダーアチーバー、バランスドアチーバー、オーバーアチーバーのそれぞれに応じた適切な指導・援助を行うとともに、高校進学後、あるいは就職後の適応性・可能性を確かめる。
ウ、卒業生の進路に関する実態調査卒業生の意見、感想、現在の状況、後輩への進言などを、自己の進路選択の判断の一つの材料とする。
(2) 上級学校に関する情報・資料の収集
1) 上級学校の体系とそのあらまし
(教育内容、特色、特典、修業年限、必要経費、合格の難易度、入学後の生活、通学方法等)についての情報・資料を生徒が自ら収集し、場に応じて活用できるようにする。
2) 本校からの進学・就職状況についての資料を収集する。
3) 先輩からの手紙、アンケート調査からの情報・資料を収集する。
(3) 産業・職業に関する情報・資料の収集
1) 産業の世界、職業の世界、事業所に関する文献やパンフレットを利用する。に 進路選択・決定に関する情報・資料
(4) 進路選択・決定に関する情報・資料
1) 生徒との個人相談のための資料となるものを収集する。
2) 保護者の理解、協力を得るための情報・資料を収集する。
3) 学校としての進路先選択・決定に関する情報資料を収集する。
(5) 情報・資料の保管と活用
入手した諸情報・資料は、整理して累積し、必要に応じて、いつでも活用できるようにしておく。
整理にあたっては、対象により、教師用、生徒用、保護者用に分類し保管した。これらの活用にあたっては、常掲用と常置用に分け、常掲用のものは、資料室、教室、廊下に貼付し、常置用のもの(スライド、ワークシート、図書、VTRなど)は資料室に置き、題材に応じてその活用を図った。
学級経営誌は、学級担任が保管し、累積記録のある個人カードとして活用されるようにした。
保護者研修部
1 研究のねらい
保護者へのどのような指導・援助を通して、生徒に自主的に進路を選択させていくかは、生徒が将来の生活での自己実現の可能性に大きな影響を及ぼすものと思われる。学校のすべての教育活動を通して行う進路指導は保護者にも及ばなければならない。
保護者が、子どもの能力・適性を知り、将来の職業を見通した進路選択に対する認識を深め、子どもの進路選択に適切に対処できる資質を備えるため、次の点について研究し実践した。