教育福島0114号(1986年(S61)09月)-036page

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研究実践

幼稚園と家庭との連携推進

〜実践例の紹介〜

いわき市立玉川幼稚園・大熊町立熊町幼稚園

 

1)、はじめに

 

子どもたちの基本的な生活習慣は、幼稚園がいかに力を注いでも、日常の家庭における生活のなかでそれが実践されていなければ、十分身につけることはできない。戦後の傾向は、学校は子どもを中心に教育を展開していればそれで十分であって、親にまで子どものしつけについて協力を求めることは必要でないという考え方が支配的であった。また、親も、家庭における子どものしつけはプライバシーに属する分野なので、他人からとやかく介入される必要はないという考えが強かった。しかし、このことは、子育てにとってマイナスに作用し青少年の非行化、非行の低年齢化等の一因となっているのが現状である。

 

2)、研究の趣旨

 

子どもの健全な育成を願い、幼稚園と家庭とがそれぞれの教育機能について相互に理解を深め、その分担と協力関係を明確にすることは極めて大切である。そのためには幼児の心身のより健やかな育成に資することができるよう、幼稚園と家庭との連携の在り方について、実践的な研究を進める必要がある。このような趣旨のもとに、本県では、文部省より、昭和六十年度から二年間にわたって、研究協力園として五園が指定された。その中から、玉川幼稚園と大熊幼稚園の実践を紹介します。

 

幼児一人一人が日常生活に必裏なことばを身につけ、楽しく生活するには、幼稚園と家庭との連携をどのようにすればよいか

−−いわき声立三郷幼稚園

 

一、研究を進めるに当たって

 

(一)研究の趣旨

人間形成の基礎が培われる幼児期において、発達段階に応じた望ましい基本的生活習慣や言語を身につけさせることは大変大事である。

なかでも、集団生活を初めて経験する園児に対して、ことばの正しい使い方を身につけさせることは、楽しい充実した園生活を過ごさせるために極めて大切なことである。

玉川地区は、新興住宅地のため、市内をはじめ県内外から人々が集まってきている。そのため、地域住民の連帯感に欠ける面があり、お互いに積極的に挨拶等をかわすことも少ないように思われる。そうした大人社会の影響は、園児たちの姿にも感じられる。例えば、「あいさつをすすんでしない」「教師が話しかけないと話さない」「自分の要求を話そうとしない」等である。

そこで、園児一人一人に日常生活におけることばの正しい使い方を身につけさせることは、本園にとって緊要な課題であると考えた。

(二) 家庭との連携の必要性

幼稚園における教育は、園児一人一人の人間形成の基礎を育成することにあるが、家庭でも役割に応じた教育がなされなければならない。

そのためにも、「幼稚園教育、家庭教育の役割は何か」の共通理解を図り、連携を深めながら、よりよい子どもの育成に努めていく必要がある。

《連携とは》

・ 園と家庭の役割分担を認識し協力し合う。

・ 目標に向かって、同じ価値観をもって協力し合う。

・ 親の保育に対する目を広げ、園行事等に積極的に協力する。

以上のような考え方にたって研究を進めてきた。

 

二、おもな研究内容

 

(一) 主題に関する文献研究

・ 日常生活に必要なことばの選択

○ 園児の実態把握

・ 使われることばの種類と問題点

(三) 幼稚園に対する親の意識調査

・ 園に対する要望や家庭における親子関係等

(四) 園児の生活行動の記録

・ 子どもに身につけさせたい日常生活に必要なことばの一覧表に基づく継続観察

 

 

 


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